遺言執行者が不動産を売却する際の流れは?解任についても解説

- この記事のハイライト
- ●遺言執行者とは遺言を執行する権限を持つ方で清算型遺贈をおこなう際に被相続人が選任するのが一般的
- ●遺言執行者がいる場合、相続人は不動産の売却に関わることはない
- ●正当な理由がある場合は家庭裁判所に遺言執行者の解任請求ができる
相続が発生すると、被相続人の財産は相続人で分割するのが基本ですが、土地や建物といった不動産は物理的に分けにくく、トラブルになることがよくあります。
トラブルを避けるためには、相続発生後に不動産を現金化することを遺言書で指定し、遺言執行者を決めておくのが得策です。
そこで今回は、遺言執行者とはなにか、遺言執行の流れと遺言執行者の解任について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張でご自身の所有している不動産の相続をどうするかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
遺言で不動産を売却できる「遺言執行者」とは

相続が発生すると、相続人が法定相続分に沿って遺産を分割するのが基本的な流れです。
被相続人の財産が現金や預貯金のみであれば、1円単位まで公平に分割できるため、遺産分割についてトラブルになりにくいでしょう。
しかし、不動産については、物理的に分けることができません。
したがって、不動産を誰かが引き継ぐ、もしくは処分するなど、相続方法を決める必要があり、相続人のあいだで意見が合わず遺産の分割が進まないケースもよくあります。
不動産は「清算型遺贈」がおすすめ
相続トラブルを防ぐためには、遺言書を作成し、遺産の分割について決めておくのが得策です。
なぜなら、相続においては遺言書が優先されるためです。
そして、不動産については「清算型遺贈」で平等に分割することができます。
清算型遺贈とは、遺言によって財産を処分する「遺贈」の一種で、不動産などの財産を売却処分し、その代金を指定した相手に譲ることです。
清算型遺贈は、現金や預貯金が少なく不動産を現金化しないと遺産を分割できない場合や、不動産をそのまま残しても空き家になる可能性がある場合などにおすすめの方法です。
清算型遺贈では、現金や預貯金、不動産など、すべての財産を現金化するだけでなく、土地のみ、建物のみといったように、部分的に現金化して遺贈することもできます。
また、1人にすべての財産を遺贈する、もしくは複数人に対し割合を指定して遺贈することも可能です。
遺言執行者を指定しておくことが大切
遺言書は、作成しただけでは、そのとおりに実行されない可能性もあります。
不動産を現金化して分割する場合、相続人が協力して売却の手続きを進めなければならないため、手間と時間がかかります。
相続人全員が、売却に向けて積極的に参加するとは限りません。
遺言の内容に不満を持つ相続人が協力してくれない可能性もあります。
そこで、「遺言執行者」を指定しておくのが一般的です。
遺言執行者とは、文字どおり、遺言の内容を単独で執行する権限を持つ方です。
遺言執行者の行為を妨害することは、法律で禁止されているため、遺言書の内容をスムーズに実現することができます。
誰を遺言執行者にするかについては、とくに規定はありません。
相続人を指定するケースもありますが、揉め事を避けるために、またスムーズに手続きをおこなうために、行政書士を選任するのがおすすめです。
なお、遺言執行者は、遺言のなかで被相続人が指定するのが一般的です。
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遺言執行者による不動産売却の流れ

先述のとおり、清算型遺贈では、被相続人が遺言書のなかで遺言執行者を決めておくのが一般的であるため、不動産の売却処分は遺言執行者がおこないます。
相続人が不動産を売却したり、賃貸借契約を結んだりすることはできません。
また、取壊しや増改築も不可です。
つまり、相続人は不動産を処分する権限を失います。
では、どのように遺言執行がおこなわれるのか、その流れについても把握しておきましょう。
遺言執行は、以下のような流れで進みます。
- ●相続登記をおこなう
- ●不動産を売却する
- ●不動産の所有権移転登記をおこなう
- ●遺産を分配する
上記の流れについて、順番に解説します。
相続登記をおこなう
不動産の相続が発生した際には、その名義を被相続人から相続人へと変更する「相続登記」をおこなわなければなりません。
このとき、いったん法定相続人全員の共有名義となります。
なお、法定相続人がいない場合は、遺言執行者が「相続財産法人」へ不動産の名義を変更します。
不動産を売却する
相続登記が完了したら、遺言執行者が不動産を売却する手続きを進めます。
まず、不動産会社と遺言執行者が媒介契約を結び、仲介を依頼します。
そのあとは、通常の不動産売却の流れと同様、不動産会社が売却活動をおこない、買主が見つかったら相続人が売買契約を結んで売却の完了です。
不動産の所有権移転登記をおこなう
売却代金を受け取ったら、買主に不動産の所有権を移さなければなりません。
法務局で所有権移転登記をおこない、不動産を引渡します。
遺産を分配する
不動産を売却するためには、税金や仲介手数料といった諸費用がかかります。
売却にかかった諸費用を売却代金から差し引き、残ったお金を遺言書の内容に沿って分配します。
このように、遺言執行者がいる場合、相続人が不動産の売却に関わることはありません。
相続登記や不動産会社とのやりとり、買主への所有権移転登記、遺産の分配など、すべて遺言執行者がおこなうため、信頼できる方を選任することが大切です。
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不動産の売却において遺言執行者を解任することはできるのか

遺言執行者がいる場合、相続人が不動産の売却について関わることはできませんが、遺言執行者を解任することは可能です。
それは、どのようなケースなのでしょうか。
最後に、遺言執行者の解任について解説します。
正当な理由がある場合
相続人は、遺言執行者がおこなう手続きを妨害することはできませんが、正当な理由がある場合は、家庭裁判所に解任を請求できます。
正当な理由として認められるのは、以下のようなケースです。
- ●遺言執行者としての役割を怠っている
- ●不動産の売却を進めない
- ●相続財産を着服した
- ●執行状況を報告しない
- ●特定の相続人に不公平な扱いをしている
上記のような理由がある場合は、家庭裁判所に解任請求をおこない、家庭裁判所が審判のうえ解任を決定します。
解任請求ができるのは、相続人や受遺者といった利害関係者です。
損害賠償請求も可能
遺言執行者不動産を著しく安い価格で売却した場合、遺言執行者に対して損害賠償を請求することが可能です。
本来なら売れるはずだった価格と、実際の売却価格の差が損害に該当します。
ただし、不動産が本来売れるはずだった売却価格を証明しなければなりません。
不動産の売却が終わったら、売却代金の分割がおこなわれます。
買主に引渡したあとで損害に気付いてトラブルになるのは避けたいものです。
遺言執行者には執行状況の通知義務があり、相続人には状況の報告を求める権利があります。
遺言執行が終わったあとでトラブルが生じるのを避けるために、気になることや心配なことがある場合は、遺言執行者に照会し、状況を把握することが大切です。
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まとめ
不動産は公平に分割するのが難しいため、相続が発生した際には相続人のあいだで揉め事が起こる可能性があります。
相続トラブルや、不動産が空き家になるのを防ぐためには清算型遺贈をおこなうのがおすすめですが、その場合は、遺言のなかで遺言執行者を指定するのが一般的です。
遺言執行者が任務を怠ったり、不当な行為をおこなったりした場合には解任することも可能ですが、トラブルにならないようにあらかじめ信頼できる方を選任することをおすすめします。
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