成年後見人が不動産を売却する方法とは?必要書類も解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

成年後見人が不動産を売却する方法とは?必要書類も解説

この記事のハイライト
●成年後見制度とは認知症などによって判断能力が低下した人に代わって代理人が契約を代行したり不動産を管理したりできる制度
●成年後見申立ての手続き方法は任意後見制度か法定後見制度を利用するかによって異なる
●成年後見人が居住用の不動産を売却する際は家庭裁判所の許可が必要になる

認知症などで判断能力が低下した方を保護するために、設けられた制度が「成年後見人制度」です。
成年後見人になれば、本人に代わって不動産を売却することは可能ですが、いくつかの手順を踏む必要があるため注意しましょう。
そこで、成年後見制度とはなにか、手続き方法と不動産を売却する方法を解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

成年後見人は不動産売却ができる?成年後見制度とは

成年後見人は不動産売却ができる?成年後見制度とは

不動産の所有者が認知症を発症し判断能力が低下した場合、不動産は売却できるのか疑問に思う方もおられるのではないでしょうか。
このようなケースの場合、本人に代わって代理人を立てることで不動産売却ができる可能性があります。
ここでは、成年後見制度とはなにかを解説します。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症や障害などにより判断能力が不十分になった方に代わって、契約や手続きなどを代行できる制度のことです。
この本人に代わって代行する方を「成年後見人」と呼びます。
判断能力が低下した本人は、家庭裁判所の監督のもとで、成年後見人から支援を受けることができます。
具体的な支援内容は、以下の2つです。

  • ●財産管理
  • ●身上監護

財産管理は、本人の預貯金や不動産などの資産を管理し、詐欺などから守る支援です。
身上監護は、介護契約や施設への入所手続きなど、生活を支援します。
このように判断能力が低下した方をサポートし、資産を守る制度が成年後見制度です。

成年後見制度は2つの種類がある

成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つの種類があります。
それぞれ、契約の方法や締結の仕方などが異なります。
任意後見制度は、本人と後見人で自由に内容を決めることができる契約方法です。
本人の判断能力が不十分になる前に後見人と契約を結び、実際に判断能力が低下したときに契約の効力を発揮します。
後見人を誰にするか、後見人にどの権限を付与するかなど、本人の意思が尊重されるのが特徴です。
一方で、法定後見制度は、本人の判断能力が不十分となったあとに、家庭裁判所により後見人が選出され始まる制度です。
本人の判断能力の程度により、後見人、保佐人、補助人が選出され、本人の代わりに権利や財産を守る手助けをします。
すでに認知症となった家族がいる場合は、法定後見制度を利用せざるを得ないでしょう。
なお、家庭裁判所の審判への不服申立ては、原則できないため注意が必要です。

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成年後見人は不動産売却ができる?成年後見申立ての手続き方法

成年後見人は不動産売却ができる?成年後見申立ての手続き方法

成年後見人を選出する際は、本人の住所を管轄する家庭裁判所にて手続きする必要があります。
ここでは、手続きと必要書類について解説します。

成年後見申立ての手続き

成年後見の申立て方法は、任意後見制度と法定後見制度で異なります。
任意後見制度の場合
任意後見制度を利用する場合は、まずは本人の意思で後見人を選び、契約内容を決めます。
そして、本人の判断能力が不十分となった際に、家庭裁判所に任意後見監督人の申立てをおこないます。
公正証書で契約を締結し完了です。
なお、任意後見人は本人の意思で選出するため、基本的に誰でも後見人になることが可能です。
ただし、未成年やその他後見人としてふさわしくない場合は、後見人になることはできません。
法定後見制度の場合
法定後見制度を利用する場合は、本人の判断能力が不十分となったあとに、家庭裁判所に後見人の申立てをおこなうことになります。
候補者は親族で話し合って決めておくことも可能ですが、裁判所が不適格と判断した場合は、別の方が選出されるため注意が必要です。
なお、家庭裁判所への申立てが可能なのは、「本人」「配偶者」「4親等内の親族」「市町村長」に限られます。
4親等内の親族とは、本人からみた配偶者、父母、祖父母、子、孫、ひ孫、玄孫、兄弟姉妹、いとこ、叔父・叔母、甥・姪が該当します。
このように法律で定められた方以外は、申立てすることができないため注意しましょう。

申立て時の必要書類

成年後見制度の利用に伴い申立てをおこなう際は、多くの書類が必要になります。
家庭裁判所へ申立てをおこなう際は、申立書のほかに、事情説明書、戸籍謄本、住民票、本人の診断書、財産目録、親族関係図などが必要です。
また、申立てをおこなう家庭裁判所によっても必要書類が異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

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成年後見人が不動産を売却する方法

成年後見人が不動産を売却する方法

成年後見制度は、後見人が本人に代わって財産の管理、契約の締結をおこなうため、所有している不動産を売却することも可能です。
ただし、後見人であっても勝手に売却できるわけではなく、適切な手順を踏む必要があります。
また、売却方法は、居住用不動産であるか非居住用不動産であるかによって異なります。
ここでは、「居住用」と「非居住用」に分けて売却方法を見ていきましょう。

居住用不動産の売却方法

居住用の不動産とは、居住している不動産はもちろんのこと、老人ホームなどの施設に入所するまでに居住していた不動産も含まれます。
これらの居住用の不動産を売却するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
仮に家庭裁判所の許可を得ずに売買した場合は、その契約は無効となるため注意しましょう。
居住用の不動産を売却する際は、以下の流れで進めます。

  • ●不動産会社と売買契約を締結する
  • ●売却活動をおこなう
  • ●買主と売買契約を締結する
  • ●家庭裁判所へ申立てをおこなう
  • ●決済・引き渡し

居住用の不動産は、家庭裁判所へ申立てをおこなうこと以外は、通常の不動産と流れは同じです。
ただし、売却の必要性が認められなかった場合は、申請が却下されることもあるため注意しましょう。

非居住用不動産の売却方法

非居住用の不動産は、後見人の判断で売却できるため、家庭裁判所の許可は必要ありません。
これは、本人が居住しているわけではないため、居住用として保護する必要がないためです。
非居住用の不動産を売却する際は、以下の流れで進めます。

  • ●不動産会社と売買契約を締結する
  • ●売却活動をおこなう
  • ●買主と売買契約を締結する
  • ●決済・引き渡し

前述したように、非居住用は家庭裁判所の許可は不要ですが、売却をおこなう正当な理由が必要になります。
たとえば、売却代金を生活費や医療費に充てるためなどの理由です。
成年後見制度によっては「後見監督人」が選任されている場合があります。
後見監督人とは、後見人がきちんと本人の財産管理や身上監護を遂行しているかをチェックしています。
正当な理由がないにもかかわらず売却した場合は、契約自体が無効となる可能性があるため注意が必要です。
なお、後見人としてふさわしくないと判断された場合は、後見人を解任となるケースもあります。

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まとめ

成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分な方に代わって、後見人となった方が財産の管理や売買をおこなえる制度です。
成年後見人によって不動産売却も可能ですが、売却をおこなう際は正当な理由が必要になり、場合によっては契約が無効となるケースもあります。
また、すでに認知症を発症している場合は、任意後見制度は利用できないこと、居住用か非居住用かによって売却方法が異なる点に注意しましょう。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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