遺産相続のやり直しは可能!期限・時効の手続きを解説
- この記事のハイライト
- ●遺産相続には権利の消滅や取得が認められる「時効」と期間内の手続きが必要になる「期限」がある
- ●相続放棄や相続登記、相続税の申告などは期限や時効がある遺産相続手続きである
- ●遺産分割のやり直しは可能であるが相続人全員が納得していることが条件である
相続後に遺産分割が成立したにもかかわらず、何らかの理由で再度やり直しを希望する場合、そもそもやり直しすることは可能なのでしょうか。
相続時には多くの手続きに時効や期限が設けられているため、事前に手続きの種類ややり直し時の注意点を把握しておくことをおすすめします。
そこで、遺産相続の手続きの時効と期限について、また遺産手続きの種類ややり直しが可能なのかを解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で遺産分割のやり直しをご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
相続時の遺産分割はやり直しできる?時効と期限とは
遺産相続に時効や期限があるのか、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
実は、遺産相続では、手続きによって時効や期限が定められています。
ここでは、遺産相続の時効とはなにか、また期限との違いについて見ていきましょう。
遺産相続の時効について
遺産相続の手続きでは、時効が適用されることがあります。
そもそも時効とは、権利の喪失もしくは取得を認める制度で、「消滅時効」と「取得時効」に分けられます。
消滅時効とは
消滅時効は、一定の期間に手続きをおこなわないと、その権利が消滅する制度のことです。
たとえば、遺留分を侵害された際に請求できる「遺留分侵害額請求」については、相続から1年以内に手続きしないと請求できる権利がなくなります。
取得時効とは
取得時効とは、一定期間継続した場合に、その事実を尊重し権利が認められる(取得できる)制度です。
たとえば、ほかの方の土地に一定期間平穏かつ公然と占有し続けた場合、その土地の所有権を取得できる可能性があります。
遺産相続の期限との違い
「時効」と「期限」は、一見すると似ており勘違いする方も多いですが、異なる概念のため混同しないよう注意しましょう。
期限とは、時効と違って定められた期間内に手続きをしなければならない限度の期間のことです。
たとえば、相続税の申告であれば、相続開始から10か月以内が期限となっており、この期間内に必ず手続きをおこなわなければなりません。
つまり、期限は権利の消滅および取得とは関係ありません。
ただし、消滅時効については、一定期間内に手続きをおこなわなければ権利が消滅するため、一種の期限ともいえるでしょう。
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相続時の遺産分割はやり直しできる?期限がある遺産相続の手続きの種類
遺産相続の手続きは、種類によって時効や期限が変わってきます。
ここでは、期限のある遺産相続の手続きと時効の種類を見ていきましょう。
期限がある遺産手続き一覧
遺産相続で期限がある手続きは以下のとおりです。
- ●死亡届:死亡後の7日以内
- ●健康保険:厚生年金は死亡後10日以内、国民健康保険は死亡後14日以内
- ●年金の手続き:国民年金は死亡後14日以内
- ●相続税申告:相続開始から10か月以内
- ●相続登記:相続したことを知ってから3年以内
期限のある遺産手続きは、限度期間までに手続きをおこなわないと、罰金などペナルティが科される可能性があるため注意が必要です。
時効がある遺産手続き一覧
時効が存在する遺産手続きには以下のようなものがあります。
- ●相続放棄:相続開始から3か月以内
- ●遺留分侵害額請求権:相続開始と遺留分の侵害を知ってから10か月
- ●相続回復請求権:相続権の侵害を知ってから5年、もしくは相続開始から20年
- ●債権の消滅:権利を行使できることを知ってから5年、もしくは権利を行使できるときから10年
相続放棄とは、亡くなった方の遺産のすべてを相続する権利を放棄することをいいます。
つまり、不要な借金などのマイナスの財産だけでなく、現金や預金などのプラスの財産も放棄することになります。
この相続放棄の時効は、相続開始を知ったときから3年以内です。
3年以内に手続きをおこなわなかった場合は、権利が消滅し、それ以降は放棄をすることはできません。
遺留分侵害額請求とは、法定相続人(兄弟姉妹以外)の方が最低限保障されている遺留分を侵害されたときに請求できる権利です。
この時効は、相続開始または遺留分の侵害を把握したときから1年となります。
なお、遺留分を侵害されていることを知らなかった場合は、10年が時効となります。
相続回復請求権は、相続人がもつ相続権を侵害されたときに、その侵害に対する救済として相続人に認められた権利です。
たとえば、本当の相続人ではないにもかかわらず、相続人として遺産を管理したり処分したりした者に対して、遺産を取り戻すことができます。
この相続回復請求権の時効は、相続権の侵害を把握してから5年、もしくは相続開始から20年です。
債権とは、特定の相手に対して、特定の給付や行為を請求できる権利のことです。
たとえば、亡くなった方が第三者に金銭を貸していた場合は、返済を求める権利が生じます。
この権利も相続財産の1つと考えられるため、相続人はこの第三者に返済を求めることができるのです。
この債権は、権利を行使できることを知ってから5年間、権利を行使できるときから10年間で自動的に消滅します。
なお、唯一、遺産分割請求権には時効が設けられていません。
遺産分割請求権とは、ほかの相続人に対して遺産分割の協議を求める権利のことです。
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相続時の遺産分割はやり直し可能なのか?
前述したように、遺産分割請求権には時効はありませんが、遺産分割がすでに成立している場合、遺産分割のやり直しはできるのでしょうか。
また、やり直しに時効や期限はあるのかも気になるところです。
ここでは、遺産分割のやり直しが可能であるかを解説します。
遺産分割はやり直しが可能
結論からいえば、すでに成立している遺産分割を新たにやり直すことはできます。
ただし、相続人全員が納得していることが条件です。
全員の同意が得られれば、以前の協議内容を破棄し新たな内容で決めることもできます。
また、重大な詐欺や錯誤、強迫があった場合は、合意なくやり直しが可能です。
遺産分割に期限や時効はある?
法律上、遺産分割そのものに期限や時効はありません。
たとえ、相続開始から何年が経過していても、遺産分割協議をおこなうことは可能です。
同様に、遺産分割のやり直しについても期限や時効はありません。
ただし、遺産分割のやり直しに時効が適用されるケースもあるため注意が必要です。
それは、強迫や詐欺などを理由に遺産分割を取り消したい場合です。
この「取消権」については、5年の時効が適用されるため、取り消せる事由を知ってから5年が経つと、やり直しができなくなるため注意しなければなりません。
また、やり直しの際は、贈与税にも気を付ける必要があるでしょう。
遺産分割のやり直しによって新たな相続人へ相続する場合、贈与と判断され贈与税が発生してしまうことがあります。
なお、協議が無効となった場合は、そもそも協議が認められないため贈与税が発生することはありません。
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まとめ
遺産相続では、さまざまな手続きに時効や期限が存在し、これを過ぎると権利を失ったりすることもあります。
遺産分割協議のやり直し自体には時効はありませんが、相続人全員の同意が必要になるため注意が必要です。
相続時には多くの手続きが必要になるため、事前に期限や時効を把握しておくとスムーズに対応できるでしょう。
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