不動産相続時に残っていた住宅ローンはどうなるのか?対処法について解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

不動産相続時に残っていた住宅ローンはどうなるのか?対処法について解説

この記事のハイライト
●不動産に残っている住宅ローンも相続の対象となる
●被相続人が団体信用生命保険に加入していれば保険金から完済される
●相続放棄はリスクも多いため注意が必要

親や親族が亡くなると、その方が所有していた財産は相続人が引き継ぐことになります。
財産と聞くと現金や預貯金、不動産といった資産をイメージしますが、不動産に住宅ローンが残っていた場合、その返済はどうなるのでしょうか。
そこで今回は、故人が所有していた不動産の住宅ローンが残っていた場合、債務を相続しなければならないのか、支払わなくても良い場合と相続放棄について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産相続時に残っていた住宅ローンは相続の対象?

不動産相続時に残っていた住宅ローンは相続の対象?

冒頭でもお伝えしたように、相続が発生すると、被相続人の財産は相続人が引き継ぐのが一般的です。
そして、相続した財産の金額に対して、相続税が課されます。

相続税の対象

相続する財産は、現金や預貯金、土地、家屋、有価証券などの「プラスの財産」だけではありません。
被相続人の借金の残高や未払金、税金などの未納分といった「マイナスの財産」も引き継ぐのが原則です。
たとえば、現金と預貯金が5,000万円、土地と家屋の評価額が8,000万円、住宅ローンが3,000万円残っていたとします。
この場合のプラスの財産は、現金と預貯金、不動産の合計で1億3,000万円です。
そこから、マイナスの財産である住宅ローンの3,000万円を差し引き、相続税の対象は1億円となります。

不動産の相続税はだれが負担するのか

被相続人の財産を引き継ぐ相続人が複数人いる場合、遺言書で指定がなければ、法定相続分で分割して相続するのが基本です。
もしくは、相続人全員で「遺産分割協議」をおこない、財産の分割方法や割合を決めることもできます。
現金や預貯金であれば1円単位まで分割できますが、不動産は物理的に分割することができないため、売却して現金化するもしくは1人の相続人が相続するのが一般的です。
たとえば、親と一緒に住んでいた長男がそのまま実家を相続するケースです。
ただし、その実家の住宅ローンが残っていた場合、その債務を長男が全額相続するわけではありません。
相続におけるマイナスの財産は、法定相続人がそれぞれ法定相続分で引き継ぐのが基本です。
とはいえ、不動産を相続しなかった相続人にしてみれば、住宅ローンを引き継ぐことに不満を持つケースも少なくありません。
そこで、住宅ローンをだれが負担するのかについても、遺産分割協議で決めることができます。
実際は、不動産を引き継いだ相続人が、住宅ローンを負担するケースが多いです。

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不動産相続時に残っていた住宅ローンを支払わなくても良い場合

不動産相続時に残っていた住宅ローンを支払わなくても良い場合

相続した不動産の住宅ローンが残っていた場合、それを負担するのは不動産を引き継いだ相続人であることを前章で解説しましたが、支払わなくても良い場合があります。
そこで次に、不動産相続時に残っていた住宅ローンを、相続人が支払わなくても良いケースについて解説します。

団体信用生命保険から完済される

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡または高度障害の状態になった場合に、住宅ローンの残高がゼロになる保険のことです。
不動産を購入するために住宅ローンの契約を結ぶときには、金融機関から団体信用生命保険への加入を求められるのが一般的です。
したがって、住宅ローンを契約している方のほとんどが、団体信用生命保険に加入しています。
被相続人が団体信用生命保険に加入していれば、亡くなったときに住宅ローンの残債と同額の保険金が団体信用生命保険から支払われます。
つまり、その時点で住宅ローンは完済するため、相続人が住宅ローンを負担することはないのです。
また、その保険金は相続人が受け取るわけではないため、相続税が課されることもありません。

団体信用生命保険の手続き方法

被相続人が亡くなったときには、以下のような手続きが必要です。

  • ●金融機関に連絡する
  • ●必要書類を提出する
  • ●完済後に登記をおこなう

上記の手続きの内容について、順番に解説します。
金融機関に連絡する
まず、住宅ローンの契約者が亡くなったことを金融機関に連絡しなければなりません。
保険の加入状況や内容を確認したうえで、金融機関から必要書類に関する案内を受けます。
必要書類を提出する
提示された必要書類を揃えて、金融機関に提出してください。
主な書類は、団信弁済届、死亡証明書、故人の戸籍(除籍)謄本または住民票除票などです。
完済後に登記をおこなう
必要書類を提出すると、内容に問題ないか保険会社が審査をおこないます。
審査にとおると、住宅ローンの残債と同額の保険金が金融機関に支払われ、住宅ローンが完済となります。
そのあと、登記手続きが必要です。
住宅ローンに関する手続きが完了したら、登記に必要な書類が送られてきます。
不動産の名義を被相続人から相続人に変更する「相続登記」と、不動産に設定されていた抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」をおこなってください。
なお、保険会社の審査には1か月~2か月ほどかかる場合があります。
そのあいだは、毎月の返済額を金融機関に支払わなければなりません。
その分については、審査のあとで返還される仕組みです。

免除されないケース

団体信用生命保険に加入していても、住宅ローンの返済が免除されないケースもあります。
たとえば、夫婦や親子が共同で住宅ローンを組んでいた場合、団体信用生命保険に加入できるのはメインの債務者のみです。
夫がメインの場合、夫が亡くなったときには保険金が支払われますが、妻が亡くなった場合は免除されません。
また、住宅ローンを滞納していた場合、団体信用生命保険が失効します。
これらの状況を確認するために、審査がおこなわれるのです。

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不動産相続時に残っていた住宅ローンが多すぎる場合の対処法

不動産相続時に残っていた住宅ローンが多すぎる場合の対処法

住宅ローンが多すぎて、相続人の負担が大きいこともあるでしょう。
最後に、その場合の対処法について解説します。

対処法1:金融機関に相談する

住宅ローンの返済が苦しい場合は、金融機関にまずは相談することが大切です。
そうすることで、返済のスケジュールや返済額などを見直してもらえる可能性があります。
また、金融機関の同意を得られれば、任意売却を検討してみましょう。
住宅ローンを滞納してしまうと、差し押さえられて最終的に競売にかけられ、不動産を失うだけでなく多額の借金を背負うことになります。
したがって、返済が苦しい場合は早急に相談しましょう。

対処法2:相続放棄をする

現金や預貯金といったプラスの財産より住宅ローンの残高が多い場合は、相続放棄をするのも対処法の1つです。
相続放棄をすれば、住宅ローンの返済義務はなくなります。
ただし、相続放棄とは、すべての財産を放棄することです。
現金や預貯金は相続したいけれど、不動産は引き継ぎたくないといったように、財産を選んで放棄することはできないのです。
また、一度相続放棄を選択すると撤回できません。
あとで多額の財産が見つかっても相続することはできないため、財産をすべて洗い出したうえで慎重に決断しましょう。
なお、相続放棄をすると、次の順位の相続人に権利が移ります。
相続放棄をした報告を怠ると、次の順位の相続人が住宅ローンを引き継ぐことになるため、トラブルになる恐れがあります。
したがって、相続放棄をする場合は、ほかの相続人への報告を怠らないよう注意が必要です。

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まとめ

不動産相続時に、住宅ローンが残っていると、その債務も相続の対象となります。
不動産が単独名義の場合、被相続人が団体信用生命保険に加入していれば、保険金から弁済されます。
団体信用生命保険に加入していない場合や、債務が多すぎる場合は、金融機関に相談して返済のスケジュールを調整してもらうか、任意売却を検討しましょう。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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