相続時に知っておきたい遺贈とは?遺贈の種類と相続との違いを解説
- この記事のハイライト
- ●遺贈であれば法定相続人以外の方にも遺産を引き継げる
- ●遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類がある
- ●遺贈と相続では財産を受け取る方や相続税の扱いなどが異なる
相続が発生した場合、法定相続人である配偶者や血族が遺産を相続するのが原則です。
なかには「家族以外に遺産を引き継ぎたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
法定相続人以外の方に財産を相続したい場合は、遺言を残すことで第三者へ相続指定ができます。
これを「遺贈」といい、今回は遺贈の仕組みや種類、遺贈と相続の違いについて解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
相続の際に知っておきたい!遺贈とは
被相続人(亡くなった方)の財産は、基本的に法定相続人が引き継ぐことになります。
法定相続人とは、民法で定められた相続できる人の範囲を指し、被相続人の配偶者と血族です。
また法定相続人のなかにも優先順位があり、血族だからといって必ずしも遺産を相続できるわけではありません。
家族と疎遠になっているなどの理由で、なかには「血族以外に遺産を引き継ぎたい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
このような場合に検討したいのが「遺贈(いぞう)」です。
はじめに遺贈とはなにか、メリットとデメリットをあわせて解説します。
遺贈とは
遺贈とは、被相続人の遺言によって、法定相続人以外の方に財産を無償で譲与することです。
本来であれば法定相続人が財産を取得しますが、遺言書で指定すれば、その方に財産を渡すことができます。
遺贈によって財産を渡す方は遺言者、受け取る方は受遺者と呼ばれ、受遺者は法定相続人ではない親族やそれ以外の第三者に設定することも可能です。
多様性の理念が浸透しつつある近年、配偶者や子どものいない方が増えていることから、遺贈を利用する方が増加傾向にあります。
遺贈のメリットとは
遺贈の大きなメリットは、法定相続人以外に財産を相続できることです。
法定相続人は法律によって定められているものの、必ずしも遺産を渡したい相手であるとは限りません。
たとえば、息子のお嫁さんが老後の生活を親身にサポートしてくれた場合、お嫁さんに財産を渡したいと思う方も多いでしょう。
しかし息子のお嫁さんは法定相続人に該当しないので、遺産を相続できません。
このような場合に遺贈をおこなえば、息子のお嫁さんに対して直接財産を相続することができます。
また相続は遺言書に基づいておこなわれるため、遺言者の意思が明確に反映されるといった安心感もあります。
遺贈のデメリットとは
遺贈のデメリットは、相続税が課税されることです。
現金以外を遺贈する場合には、高額な相続税が負担となり、受遺者がやむをえず遺贈を放棄することにもなりかねません。
せっかく生前にお世話になった方に気持ちを表そうとしたのに、返って負担をかけてしまっては申し訳ない気持ちになります。
また遺留分に関するトラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。
法定相続人には「遺留分」といって、法律で最低限相続できる割合がそれぞれの立場ごとに決められています。
遺贈によって全財産を特定の受遺者に引き継ぐと、相続人の遺留分を侵害してしまい、トラブルになる恐れがあります。
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相続の際に知っておきたい!遺贈の種類とは
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があり、それぞれに異なる特徴があります。
どの方法を選ぶかによって受けとる側や相続人にも大きな影響を与えるため、特徴を知った上で慎重に判断しましょう。
包括遺贈とは
包括遺贈とは、遺言書で財産の一部または全部を特定せず、一括して無償譲渡する方法です。
「遺産のすべてをAさんに渡す」「遺産の7割をBさんに引き継ぐ」などと記載されていれば、それは包括遺贈に該当します。
包括遺贈のメリットは、遺言書の作成後に財産の変化が生じた場合でも柔軟に対応できることです。
たとえば、主な財産が預貯金と土地で、遺言書を作成した時点ではどちらも同等の価値であったとしましょう。
Aさんに財産の半分を渡したいと思い、「Aさんに土地をゆずる」と記載したものの、相続時には土地の価値が大幅に下がっていたとします。
包括遺贈によって「Aさんに遺産の半分をゆずる」と記載しておけば、財産の価値が変化してもAさんは半分を受け取ることが可能です。
ただし、包括遺贈の割合にはマイナスの財産も含まれるため、受遺者が思わぬ負債を抱えることになるリスクがあります。
包括遺贈は放棄することも可能ですが、その場合は受遺者が相続開始を知ったときから3か月以内に申請しなければなりません。
特定遺贈とは
特定遺贈とは、遺言で特定の財産を指定して遺贈する方法です。
遺言書に「Aさんに預貯金100万円を遺贈する」などと記載されていれば、それは包括遺贈に該当します。
特定遺贈のメリットは、渡したい財産を具体的に指定できるので、他の相続人と遺産分割協議を行わなくて良い点です。
また債務は引き継がなくて良いため、受遺者は安心して遺産を譲り受けることができるでしょう。
お世話になった方に財産の一部を譲りながら、借金の一部も負担させたくない場合におすすめの方法です。
なお、特定遺贈も包括遺贈と同様に、受遺者が期限内に申請をおこなえば放棄することができます。
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相続の際に知っておきたい!遺贈と相続の違いとは
遺贈も相続も財産を承継するという点に変わりはありません。
しかし、財産を受け取る方や相続税の扱い、登記の申請方法などが異なります。
財産を受け取る方の違い
遺贈と相続の大きな違いは、被相続人の財産を受け継ぐ方です。
相続の場合、原則として法律によって定められている相続人しか財産を取得できません。
法定相続人は配偶者および血族と決まっており、その中でも優先順位が定められています。
一方で遺贈では、知人や友人、同僚など法定相続人以外の方にも財産を承継することが可能です。
相続税の違い
遺贈で財産を引き継いだ方には、相続税が2割加算される可能性があります。
2割加算される理由は、被相続人との血縁関係が近い方と遠い方、さらには血縁関係のない方の相続税が同じであるのは不自然だと考えられているためです。
被相続人の配偶者と子ども、親以外の方が遺贈によって財産を引き継いだ場合は、通常よりも相続税の負担が増えてしまう点に注意が必要です。
不動産手続きや税金の違い
遺産のなかに不動産が含まれている場合は、不動産の所有者が変わったことを記録する手続きが必要です。
この手続きを「所有権移転登記」といい、相続によって不動産を取得した方は単独で申請ができます。
一方、法定相続人以外の方が遺贈によって不動産を取得した際は、受遺者と遺言執行者または相続人全員による共同申請をおこなわなければなりません。
相続と遺贈では、所有権移転登記の際にかかる登録免許税の税率や不動産取得税の有無にも違いがあります。
登録免許税の税率は、相続および受遺者が法定相続人の場合で固定資産税評価額の0.4%、受遺者が法定相続人以外だと固定資産税評価額の2%です。
また相続によって不動産を取得すると不動産取得税は課されませんが、法定相続人以外の方が特定遺贈で取得した場合は課税対象となります。
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まとめ
遺贈の大きなメリットは、法定相続人以外の方にも財産を引き継げることです。
ただし遺贈であっても相続税がかかるので、受遺者が思わぬ負債を抱えることになるリスクがあります。
また受遺者が法定相続人以外の場合は、相続税が2割加算されてしまう点も理解しておかなければなりません。
特定遺贈と包括遺贈では特徴が大きく異なるので、メリットとデメリットを把握した上で慎重に判断しましょう。
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