小規模宅地等の特例とは?必要書類をケース別に解説
- この記事のハイライト
- ●小規模宅地等の特例は申請時の状況によって必要書類が異なる
- ●別居の親族が申請する場合は被相続人やその配偶者と同居していないことを証明しなければならない
- ●被相続人が老人ホームなどに入所していた場合は要介護認定証や施設の契約書が必要
相続で取得した土地には相続税が課されますが、「小規模宅地等の特例」が適用されれば、相続税を抑えることができます。
ただし、「小規模宅地等の特例」の申請時にはさまざまな書類を提出する必要があり、状況によって必要書類も異なるため注意が必要です。
そこで今回は、小規模宅地等の特例の申請時に必要な添付書類を、「共通して添付するもの」「別居の親族が申請する場合」「老人ホームに入所していた場合」の3つに分けて解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
小規模宅地等の特例の必要書類1:共通して添付するもの
まずは、「小規模宅地等の特例」とはどのような制度なのか、その概要について確認しておきましょう。
小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた自宅や、賃貸物件として使用していた土地を相続した際に利用できる制度です。
土地を相続すると、その土地の相続税評価額を基準に相続税が計算されます。
このときに、一定の要件を満たせば、土地の相続税評価額を最大で80%減額することが可能です。
特例の適用対象となる宅地は、以下の4種類です。
- ●特定居住用宅地…被相続人が居住していた宅地
- ●特定事業用宅地…被相続人が事業に使っていた宅地
- ●特定同族会社事業用宅地…被相続人が所有者である会社が使用していた宅地
- ●貸付事業用宅地…不動産貸付用の宅地
これらは、種類によって限度面積と減額割合が異なります。
個人の方で多く見られる特定居住用宅地の場合、限度面積が330㎡、減額割合は80%です。
小規模宅地等の特例の申請に必要な書類
小規模宅地等の特例を申請する際には、相続時の状況によって必要書類が異なりますが、以下のような書類は共通して添付するのが原則です。
- ●遺産分割協議書もしくは遺言書の写し
- ●印鑑証明書
- ●戸籍謄本
上記の内容について、順番に解説します。
遺産分割協議書もしくは遺言書の写し
小規模宅地等の特例は、遺産分割協議が終わっていることが前提です。
したがって、遺産分割協議書や、遺言で遺産分割の指定があった場合は遺言書の写しが必要です。
なお、特例を利用するためには、相続税の申告を期限までにおこなわなければなりません。
相続税の申告期限は、相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
この期限までに遺産分割協議がまとまらなかった場合は、遺産分割協議の分割見込書を添付してください。
印鑑証明書
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で捺印します。
その実印が相続人本人のものであることを証明するために、全員の印鑑証明書が必要です。
戸籍謄本
小規模宅地等の特例を受けるためには、亡くなった方の相続人が誰なのかを把握する必要があります。
これは、戸籍謄本で確認します。
ただし、被相続人が亡くなってから10日以降に作成されたものを添付してください。
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小規模宅地等の特例の必要書類2:別居の親族が申請する場合
別居の親族であっても、小規模宅地等の特例の申請をおこなうことができます。
ただし、同居の親族が申請するケースとは必要書類が異なります。
同居の親族が申請するケース
被相続人の配偶者および同居している親族が小規模宅地等の特例を申請する場合は、前章で解説した書類を添付して申請します。
それ以外の必要書類はありません。
別居の親族が申請するケース
別居の親族が申請する場合は、相続開始前3年以内に被相続人やその配偶者と同居していないことを証明する書類が必要です。
これらを証明するための必要書類は、以下のとおりです。
- ●戸籍の附票の写し
- ●賃貸借契約書や親族が所有している家屋の登記簿謄本
それぞれの内容について、順番に見ていきましょう。
戸籍の附票の写し
戸籍の附票とは、戸籍を作ってからの住民票の移り変わりを記録したものです。
戸籍の附票を添付することで、相続開始前3年以内に被相続人やその配偶者と同居していないことを証明できます。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村の役所で取得します。
郵送や、マイナンバーカードを使用してコンビニエンスストアで取得することも可能です。
ただし、小規模宅地等の特例の申請に添付するのは、相続の開始日以後に作成された戸籍の附票でなければなりません。
賃貸借契約書や親族が所有している家屋の登記簿謄本
被相続人と同居していないということは、相続人が賃貸物件に入居している、あるいは相続人本人が家屋を所有していることになります。
これを証明するために、賃貸物件の賃貸借契約書や、自宅の登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。
別居の親族が小規模宅地等の特例を利用する際には、共通の必要書類にくわえ、上記のような書類を準備して税務署に申請しましょう。
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小規模宅地等の特例の必要書類3:老人ホームに入所していた場合
「特定居住用宅地」の相続で利用する小規模宅地等の特例は、本来であれば、被相続人が居住用として使用していた宅地に対して適用されます。
しかし、故人が老人ホームに入所しており、居住していない家を相続するケースもあるでしょう。
そこで最後に、被相続人が老人ホームなどに入所していたケースの必要書類について解説します。
小規模宅地等の特例が適用される要件
被相続人がその宅地に居住していなくても、以下の要件を満たせば、小規模宅地等の特例が適用されます。
- ●相続開始の直前までに被相続人が要介護認定などを受けている
- ●老人福祉法で定められた特別養護老人ホームなどに入所している
- ●被相続人が亡くなるまで他人に貸したり事業用として使用したりしていない
つまり、被相続人が老人ホームなどに入所していることと、その後も自宅として所有していることを証明できれば、小規模宅地等の特例を受けられるのです。
小規模宅地等の特例の申請時に必要な書類
この場合は、以下の必要書類を準備してください。
- ●被相続人の戸籍の附票の写し
- ●要介護認定証、介護保険の被保険者証の写しなど
- ●施設入居時の契約書
これらの書類の必要性について順番に解説します。
被相続人の戸籍の附票の写し
老人ホームなどに入所すると、その方の住所が施設に移転します。
そのことを証明するために、被相続人の戸籍の附票の写しが必要です。
要介護認定証、介護保険の被保険者証の写しなど
被相続人が老人ホームなどに入所しているケースで小規模宅地等の特例を利用するためには、先述のとおり、被相続人が要介護認定を受けていることが要件です。
これは、介護認定証、介護保険の被保険者証の写しなどで証明できます。
施設入居時の契約書
小規模宅地等の特例を利用するためには、被相続人が老人ホームなどに入所していたことを証明する必要があります。
これについては、施設に入居する際に結んだ契約書を添付してください。
ただし、特例が適用されるのは、法律で定められた福祉施設であることが条件です。
なお、被相続人が老人ホームなどに入所したあと、親族が被相続人の自宅に入居した場合は、適用外となります。
同居していた親族が引き続き居住していた場合や、被相続人が亡くなったあとに親族が自宅を相続した場合は適用されます。
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まとめ
相続で実家などを取得した場合、小規模宅地等の特例を利用することで相続税評価額を大幅に低くすることができます。
特例を利用する際の必要書類は、相続人がどのような状況で申請するかによって、添付書類が異なります。
適用要件を満たしているかどうかを適切に判断することで相続税を抑えられるため、要件や状況を証明する添付書類について理解を深めて申請しましょう。
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