自分で相続放棄の手続きをおこなう方法とは?必要書類や注意点を解説
- この記事のハイライト
- ●相続放棄の手続きを自分でおこなう際の流れは、相続状況の確認から証明書の取得まで6ステップある
- ●手続きの必要書類は相続人によって異なり、役所での取得が必要となるため、早めに準備することが大切
- ●注意点は申請の却下・限定承認の検討・相続放棄後の管理義務の3つ
相続放棄の手続きは自分でおこなうことも可能ですが、専門家に依頼したほうが良い場合もあるため、注意が必要です。
本記事では、相続放棄の手続きを自分でおこなう際の流れと必要書類、注意点について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続予定の方は、ぜひ参考になさってください。
相続放棄の手続きを自分でおこなう際の流れ
相続放棄を検討する際、まず押さえておきたいのが「相続を知ったときから3か月以内」に家庭裁判所へ申述しなければならないという期限です。
相続放棄は一度認められると撤回ができないため、必要書類を整えながら慎重に判断しましょう。
一般的な手続きの流れは、以下のとおりです。
①相続状況の確認
被相続人(亡くなられた方)の財産調査や負債状況を把握し、相続放棄をするかどうかを検討します。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金や未払い金など)も含めて総合的に判断することが大切です。
とくに借金が多い場合には相続放棄が有力な選択肢となりますが、先に費用や手間も考慮しておくと安心です。
②必要書類の準備
相続放棄の申述には、相続放棄申述書のほか、被相続人との関係が分かる戸籍謄本や除籍謄本、申述人(放棄をする方)の住民票や戸籍謄本などが必要となります。
家庭裁判所によっては追加書類を求められるケースもあるため、事前に管轄の家庭裁判所へ確認するとスムーズです。
③相続放棄申述書の作成
家庭裁判所のウェブサイトや窓口で配布される書式を使用して、相続放棄申述書を作成します。
主な記入項目は、被相続人の情報・申述人の情報・相続放棄を決断した理由などです。
記入事項に不備があると手続きが遅れることがあるため、丁寧に漏れなく記入しましょう。
④家庭裁判所への提出・申立費用の支払い
必要書類と相続放棄申述書が揃ったら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
同時に、収入印紙(通常800円分)と連絡用の郵便切手も用意が必要です。
提出後、裁判所からの問い合わせがあれば、速やかに対応するようにしましょう。
⑤審理と照会への回答
申立書類を確認した家庭裁判所は、必要に応じて申述人に照会をおこなったり、面談を要請したりする場合があります。
内容に問題がなければ、相続放棄が認められる方向で手続きが進みます。
裁判所からの連絡を見落とさないように注意し、指示があれば期限内に対応することが大切です。
⑥相続放棄の決定と証明書の取得
審理の結果、相続放棄が受理されると「相続放棄申述受理通知書」または「相続放棄申述受理証明書」が家庭裁判所から発行されます。
証明書は金融機関などへの手続きで提示する場合があるため、必要な部数を取得して保管しましょう。
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自分で相続放棄の手続きをするための必要書類
まずは、被相続人との関係にかかわらず、すべての方に共通して必要となる書類を確認しましょう。
- ●相続放棄申述書(申述者が成人か未成年かによって様式が異なる)
- ●被相続人の住民票除票または戸籍附票
- ●申述者(手続きをする方)の戸籍謄本
続いて、被相続人との続柄(配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹など)によって必要となる書類を解説します。
被相続人の配偶者が手続きする場合の必要書類
被相続人の配偶者が相続放棄の手続きをする場合、被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要です。
被相続人の本籍地で取得します。
第一順位相続人が手続きする場合の必要書類
第一順位相続人とは、被相続人の子や代襲相続人を指します。
代襲相続人とは、本来の相続人が被相続人が亡くなる前に亡くなっていた場合に、代わりに相続する孫やひ孫のことです。
代襲相続人が相続放棄する場合は、被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本にくわえて、本来の相続人(親など)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要です。
第二順位相続人が手続きする場合の必要書類
第二順位相続人とは、被相続人の父母を指します。
父母が相続放棄するときは、被相続人が出生してから死亡するまでのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要です。
また、被相続人の子や代襲者で亡くなっている方がいる場合は、その子の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本も必要となります。
父母が被相続人より先に亡くなっている場合は、祖父母に相続権があります。
祖父母が相続放棄の手続きをおこなう場合「被相続人の父母の死亡の記載のある戸籍謄本」も追加で必要です。
第三順位相続人が手続きする場合の必要書類
第三順位相続人は、兄弟姉妹になります。
兄弟姉妹が相続放棄する場合、被相続人が出生してから死亡するまでのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要です。
被相続人の子またはその代襲者で亡くなっている方がいる場合は、その子の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本も必要となります。
さらに、被相続人の直系尊属(父母・祖父母)で亡くなっている方がいる場合は、その直系尊属の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本も必要です。
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、甥や姪が代襲相続できます。
申述人が代襲相続人(甥や姪など)の場合、本来の相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本も必要です。
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相続放棄の手続きを自分でおこなう際の注意点とは?
相続放棄は、相続財産だけでなく債務(借金など)の相続も免れるための大切な手続きですが、一度認められると撤回ができない「重大な決断」です。
自分で相続放棄の手続きをおこなう際に知っておきたい注意点は、以下の3つです。
注意点①却下されると再申請が通りにくい
自分で相続放棄を申請して書類に不備があった場合でも、家庭裁判所からの連絡に適切に対応すれば、基本的には問題ありません。
しかし、何も対応しないままでいると申請が却下されることがあります。
一度却下されても再申請は可能ですが、その際は「なぜ最初に却下されたのか」という理由を明確に示さなければならず、受理されにくくなるのが注意点です。
再申請が必要な場合は、弁護士に経緯を伝えてから、受理の見込みについて相談してみることをおすすめします。
注意点②限定承認の方が適している場合がある
マイナスの財産(債務など)があるときに、相続放棄の前に検討したいのが「限定承認」と呼ばれる手続きです。
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を負担する方法で「相続財産すべてを放棄したくはないが、借金までは背負えない」といった場合に有効です。
ただし、相続人全員の同意が必要なうえ、相続を知った日から3か月以内に手続きしなければならない点にも注意しましょう。
注意点③相続放棄後の管理義務
相続放棄の申請が認められても、新しい相続人が管理を始めるまでの間は、放棄をした方が管理を続けなければならない場合があります。
なお、2023年4月の民法改正によって「相続財産を実際に占有している方」だけが管理義務を負うことが、より明確になりました。
たとえば、被相続人の家に同居していた場合、その家を「現に占有している」とみなされるため、相続放棄後もしばらくは管理を続ける可能性があります。
以上のように、相続放棄にはさまざまな注意点があるため、疑問点や不安がある場合は専門家に相談しながら進めると安心です。
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まとめ
相続放棄の手続きを自分でおこなう際の流れは、相続状況の確認から証明書の取得まで6ステップあります。
手続きの必要書類は相続人によって異なり、役所での取得が必要となるため、早めに準備することが大切です。
手続きする際は、申請の却下や限定承認の検討、相続放棄後の管理義務についてご注意ください。
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