相続における現物分割はどんな場合におすすめ?メリットとデメリットも解説!
- この記事のハイライト
- ●不動産などの相続財産を現金に換えずにそのまま相続することを現物分割という
- ●現物分割は手続きが簡単な一方で不公平を感じやすいというデメリットもある
- ●多種多様な遺産がある場合や預貯金などで金額を調整できる場合は現物分割がおすすめ
被相続人が遺言書を残していない場合、相続人同士で財産の分割方法を話し合う必要があります。
遺産の分割方法として、もっとも一般的なのは「現物分割」ですが、他の方法を選択したほうが良いケースもあります。
状況に応じて適切な分割方法を選ぶには、現物分割とその他の分割方法の特徴を知っておくことが大切です。
今回は、遺産の分割方法の1つ「現物分割」について、メリットとデメリット、現物分割が向いているケースを解説します。
一宮市、名古屋市、西尾張で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
相続における不動産の現物分割とは
まずは現物分割とその他の分割方法について解説します。
現物分割とは
現物分割とは、不動産などの相続財産を現金に換えることなく、そのまま相続することです。
たとえば自宅の土地と建物は長男に、現金は次男に相続させるといった分割方法が該当します。
また土地を分筆し、各相続人が土地を取得するケースも同様に現物分割にあたります。
分筆とは、登記簿上の一筆の土地を複数に分割して登記し直すことです。
分筆すると土地の権利関係を別々に登記できるため、相続人それぞれが自由に活用できるようになります。
現物分割以外で財産を分ける方法
財産の分割方法には、現物分割の他に代償分割と換価分割があります。
代償分割とは、特定の相続人が現物の財産を相続する代わりに、他の相続人に代償金を支払う方法です。
たとえば時価3,000万円の不動産を兄が相続し、弟に1,500万円を支払えば代償分割をしたことになります。
代償金の支払いにより公平性を保てる点がメリットですが、不動産を取得する側に資金力がないと成立しません。
一方で換価分割とは、財産を売却して現金化し、その現金を相続人同士で分配する方法です。
現金化することによって、現物では分割しにくい財産でも公平に引き継げるという大きなメリットがあります。
ただし不動産を売却するには手間と費用がかかり、また売却益に対して所得税や住民税がかかる点に注意が必要です。
このように、遺産の分割方法には複数の種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どの分割方法が適しているのかは個々の状況によって異なるので、相続人同士で十分に話し合うことが大切です。
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相続した不動産を現物分割するメリットとデメリット
次に、不動産を現物分割するメリットとデメリットを解説します。
メリット1:手続きが簡単
現物分割は、他の分割方法に比べてもっともオーソドックスで分かりやすい方法と言えます。
もし、換価分割をするとなったら、不動産会社に仲介を依頼し、売却活動をおこなわなければなりません。
不動産会社探しから契約の締結や書類の準備など、多くの手続きが発生し、手間と費用がかかります。
一方で、代償分割の場合は、財産の価値を算出し、代償金をいくら支払うか決めなければなりません。
現物分割では、相続人それぞれが受け取る財産の名義を変更するだけで手続きが完了します。
代償金の準備や不動産の売却なども不要で、手間やコストがかからないといったメリットがあります。
メリット2:評価方法を巡るトラブルになりにくい
不動産の評価方法を巡ってトラブルに発展するのを防げる点も、現物分割をおこなうメリットの1つです。
代償分割と換価分割では、不動産の評価額をもとに遺産分割をおこなうので、どの評価方法を選択するかがとても重要です。
しかし、評価方法は1つだけではなく、選択した方法によって評価額が異なるため、相続人間で意見が割れることがあります。
何度話し合っても意見がまとまらない場合は、遺産分割調停や審判を検討しなければならないでしょう。
基本的に、現物分割は「母が実家、長男が現金、長女が株式」などのように、誰がどの遺産を相続するか決めるだけで済みます。
不動産の評価はそこまで重要ではないため、評価方法を巡ってトラブルになるリスクを軽減できます。
デメリット1:不公平になりやすい
不動産は、財産のなかでも価値が高くなりやすく、相続に不公平感が生まれるリスクがあります。
たとえば、相続人の1人が土地や建物といった不動産を取得して、他の相続人が預貯金を相続したとしましょう。
不動産が1,000万円、預貯金が500万円の場合、相続額に500万円もの差がでてしまいます。
預貯金のほうが高い場合は、1円単位で分け合うことができますが、不動産の場合は物理的な分割ができません。
不動産と他の遺産との価値に差があると、不公平感が生まれてしまい、トラブルになる可能性があります。
デメリット2:分筆ができないケースがある
土地の場合は、分筆によって比較的平等に分割することができますが、すべての土地が必ずしも分筆できるというわけではありません。
境界が確定されていなかったり、分筆で最低敷地面積以下になったりする場合は、分筆が認められないため注意が必要です。
また、エリアによっては、景観保持などのために条例で一定区域の分筆を禁止しているケースもあります。
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相続において現物分割が難しいケースとは
遺産の分割方法として、もっとも一般的な現物分割ですが、なかには現物分割が向いていないケースもあります。
最後に、現物分割が難しいケースと現物分割に向いているケースについて確認しておきましょう。
現物分割が難しいケース
現物分割をすることで、共有物の価値が著しく減少する場合は、他の分割方法を検討しましょう。
土地の場合は、分筆によって比較的公平に分割ができると先述しましたが、必ずしもそうとは言えません。
たとえば、分筆後に袋地が発生する場合、そうでない土地との価格差が大きくなってしまいます。
そうなると、公平に分割できたとは言えず、次は誰がどの土地を取得するかで揉めるリスクが高いでしょう。
現物分割をすることで共有物の価値が著しく減少する場合は、他の方法で分割することをおすすめします。
また、相続人が複数いる状態で、建物や自動車などの物理的に分けられない財産だけしかない場合も同様です。
現物分割に向いているケース
現物分割に向いているのは、おもに以下のようなケースです。
- ●多種多様な遺産がある
- ●預貯金などで金額を調整できる
預貯金や土地、自動車など多種多様な遺産がある場合は、現物分割に向いています。
たとえば、1,000万円の土地と100万円の車、900万円の預貯金があり、兄と弟が相続するとしましょう。
兄が土地を取得して、弟が車と預貯金を取得すれば、お互い1,000万円分ずつ相続できるため不公平感がありません。
多種多様な遺産があり、相続人それぞれが公平に遺産を取得できる場合は、現物分割がおすすめです。
また、遺産のなかに現金や預貯金があり、遺産の価格差を調整できる場合も現物分割が向いています。
たとえば、1,000万円の土地と400万円の車、1,000万円の預貯金があり、兄と弟が相続するとしましょう。
兄が1,000万円の土地と200万円の預貯金を取得し、弟が400万円の株式と800万円の預貯金を相続すれば公平になります。
現物分割に適しているのかどうかを見極めるためにも、相続人全員で遺産分割について、しっかり話し合うことが大切です。
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まとめ
現物分割とは、不動産などの相続財産を現金に換えることなく、そのまま相続することです。
現物分割には、手続きが簡単、評価方法を巡るトラブルになりにくいといったメリットがあります。
ただし、財産の種類や相続人の状況によっては、他の分割方法を選択したほうが良いケースもあります。
分割方法を決める際は、現物分割と他の方法を比較しながら、相続人同士で十分に話し合うようにしましょう。
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