不動産の相続税評価額とは?土地と建物ごとの計算方法を解説

不動産の相続税評価額とは?土地と建物ごとの計算方法を解説

この記事のハイライト
●不動産の相続税評価額とは相続財産ごとに定められた相続税を計算するときの基準となる価格のこと
●計算方法(家屋・建物)は、基本的に固定資産税評価額を基準として計算する
●計算方法(土地)は路線価方式と倍率方式のいずれかで計算する

不動産を相続する際は、相続税に大きく関わる「相続税評価額」を理解しておくことがとても大切です。
相続税は、土地と建物をそれぞれの評価方法で算出された評価額を合計し、その合計額に基づいて納税額を判断します。
本記事では、不動産の相続税評価額とは何か、その基本的な考え方や家屋・建物、土地ごとの計算方法を解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で相続にお困りの方は、ぜひ参考にご覧ください。

不動産の相続税評価額とは?

不動産の相続税評価額とは?

相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する際の基準となる「財産の価値」を示すものです。
相続が発生した場合、土地や建物などの不動産だけでなく、現金、預貯金、有価証券など、被相続人(亡くなった方)が残したすべての財産の価値を評価します。
これらすべての財産価値を合計した金額が「相続税評価額」となり、この評価額をもとに、相続税がかかるかどうかが判断されるのです。

財産ごとの評価と相続税評価額の関係について

相続税評価額は、財産の種類によって算出方法が異なります。
ただし、基本的な考え方は「時価」を基準にする点で共通しています。
たとえば、現金1億円であれば、その時価も1億円です。
一方、不動産の評価は、現金などとは異なります。
土地や建物は、社会情勢、需要、立地条件などによって価格が大きく変動します。
再開発や人気エリアなどの需要が高い場所で値上がりすることもあれば、交通の便が悪い場所や需要が低い場所では、値下がりすることもあるのです。

このように、不動産は現金と異なり、評価が単純ではありません。
しかし、相続税評価額は相続税の計算の出発点となるため、正しく算出することが重要です。
そのためには、相続対象となる財産をきちんと把握し、それぞれの評価方法を正しく理解することが欠かせません。

固定資産税評価額との違い

固定資産税評価額は、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税などを算出するための基準額です。
総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき、市町村がおこないます。
そのため、不動産の持ち主が自分で計算する必要はありません。
一方で、相続税評価額は市町村が算出するものではありません。
そのため、相続税の計算に際しては、自分自身で相続税評価額を求める必要があります。
これが、固定資産税評価額との大きな違いです。

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不動産の相続税評価額の計算方法(家屋・建物)

不動産の相続税評価額の計算方法(家屋・建物)

家屋・建物の相続税評価額は、その建物が生前どのように使われていたかによって、計算方法が異なります。

故人(被相続人)が利用していた場合(居住用・事業用)

故人が居住用あるいは事業用として使用していた家屋や建物の場合、相続税評価額は下記の式で求められます。
相続税評価額=固定資産税評価額×1.0
つまり、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になるのです。
たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、「2,000万円×1.0=2,000万円」となり、相続税評価額は2,000万円となります。

故人が家屋・建物を第三者に貸していた場合

故人が第三者に家屋や建物を貸していた場合、相続税評価額は以下の式で求められます。
相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合)
「借家権」とは、借主(借り手)が家屋や建物を借りて使う権利のことです。
借家権の割合は、家屋・建物の評価額の30%と決まっています。
そのため、家屋・建物の評価額からこの30%分を差し引いて計算します。
たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の家屋・建物を第三者に貸していた場合、借家権は「2,000万円×0.3=600万円」です。
よって、相続税評価額は「2,000万円-600万円=1,400万円」となります。

故人が賃貸物件を所有していた場合

故人が所有していた建物が賃貸物件だった場合、相続税評価額は次の計算式で求めます。
相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
賃貸割合は、第三者に貸している部分が、建物全体の床面積に対して、どの程度の割合を占めるかを示す値です。
貸している面積が広いほど、相続税評価額は低くなります。
仮に、賃貸物件全体の床面積が400㎡あり、そのうち200㎡を第三者に貸している場合、賃貸割合は「200㎡÷400㎡=50%」となります。
固定資産税評価額が5,000万円の場合、相続税評価額 =5,000万円 ×(1-0.3×0.5)=4,250万円です。
このように、賃貸割合が増えると、その分相続税評価額は低くなります。

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不動産の相続税評価額の計算方法(土地)

不動産の相続税評価額の計算方法(土地)

土地の相続税評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。
どの方式を使うかは、土地の種類(地目)や場所によって異なります。
そのため、土地を相続する前に、どちらの方式が適用されるかを確認しておくと安心です。

路線価方式の計算方法

路線価方式は、その土地が面する道路の1㎡あたりの評価額(路線価)をもとに、相続税評価額を求める方法です。
ただし、すべての地域に路線価が設定されているわけではありません。
そのため、この方式は路線価が定められている地域に限定されます。
自分が相続する予定の土地が路線価設定地域かどうかは、国税庁のホームページで確認できます。
路線価方式の計算式は、以下のとおりです。
相続税評価額=路線価×各種補正率×土地面積
「補正率」とは、土地の形状や利用しやすさなどを反映して、評価額を調整するための割合です。
整った形状の土地は高く評価されますが、奥まっていて使いづらいなどの場合は評価が下がることがあります。

倍率方式の計算方法

倍率方式は、路線価が設定されていない地域で用いられる評価方法です。
路線価図に「倍率地域」と明記されていれば、倍率方式で相続税評価額を求めます。
倍率方式の計算式は、以下のとおりです。
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
倍率は、国税庁のホームページに掲載されている「評価倍率表」で確認できます。
年度や土地の種類(地目)、地域によって異なる倍率を示しています。
たとえば、固定資産税評価額が3,000万円で、該当する倍率が1.1の場合、「3,000万円×1.1=3,300万円」となり、3,300万円が土地の相続税評価額です。

土地の相続税評価額の減額要素とは

土地の相続税評価額は、その土地の形状、利用状況、さらには借地・借家などの契約条件によって減額が認められることがあります。
たとえば、借家が建っている土地(貸家建付地)なら、評価額を約20%ほど下げられます。
また、500㎡を超える広い宅地の場合でも、一定の条件を満たせば、大幅な減額が可能です。
こうした減額要素は、相続税額に大きく影響するため、相続に詳しい税理士に相談して、適切な手続きをおこなうことをおすすめします。

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まとめ

不動産の相続税評価額とは、相続財産ごとに定められた相続税を計算するときの基準となる価格のことです。
計算方法(家屋・建物)は、基本的に固定資産税評価額を基準としますが、第三者に貸している場合や賃貸物件の場合は、借家権割合や賃貸割合を考慮します。
計算方法(土地)は、路線価方式と倍率方式のいずれかで計算します。
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