根抵当権の付いた不動産とは?そのまま相続する方法と抹消方法を解説
- この記事のハイライト
- ●根抵当権とは不動産の担保価値によって決められた範囲内で借り入れと返済を繰り返すことができる権利のこと
- ●根抵当権の付いた不動産をそのまま相続するには相続開始から6か月以内に手続きをしなければならない
- ●根抵当権の債務が多い場合は相続放棄を検討するのも1つの方法である
被相続人(亡くなった方)が事業をおこなっていた場合、相続する不動産に「根抵当権」が設定されているケースがあります。
根抵当権は、事業を引き継ぐ際には有効な権利ですが、事業を引き継がない場合には抹消する手続きが必要になるため注意しましょう。
そこで、根抵当権の付いた不動産とはなにか、そのまま相続する方法や抹消する方法について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で根抵当権の付いた物件を相続した方は、ぜひ参考になさってください。
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不動産相続前に知っておきたい「根抵当権」とは?
根抵当権は、一般的には事業を営んでいる方が利用する権利ですが、個人の方の相続でも不動産に根抵当権が付いてることがあります。
ここでは、根抵当権とはなにかについて解説します。
根抵当権とは
根抵当権とは、不動産の担保価値によって決められた範囲内で、何度でも借り入れと返済をおこなえる権利のことです。
借り入れするたびに審査の必要がなく、運転資金が必要な際にスムーズに融資を受けることができます。
また、借り入れごとに登記手続きする必要がないため、手間と費用が省けるといったメリットもあります。
なお、抵当権は、おもに企業が事業資金などの融資を受ける場合に、不動産などに設定するケースが多いでしょう。
抵当権との違い
抵当権は、住宅を購入する際に不動産に担保として設定される権利で、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、「根抵当権」と「抵当権」はよく似ていますが、違いがいくつかあります。
まず、借入額の違いです。
抵当権は、借入額が決まっており、それ以上は追加で借り入れすることはできません。
一方で、根抵当権は、契約時に「極度額」が定められ、その範囲内であれば何度でも借り入れをすることができます。
また、根抵当権は、返済額や返済日は決まっていませんが、抵当権はあらかじめ決められた日に決められた額を返済する必要があります。
さらに、抵当権は債務の返済が完了すると消滅しますが、根抵当権は債務がゼロとなっても、当事者の合意がない限り消滅することはありません。
このように、根抵当権と抵当権は似ているものの、まったく内容や特徴が異なります。
根抵当権の相続を急ぐ必要がある理由
根抵当権の付いた不動産は、通常の不動産と異なり、相続する場合は急いで手続きする必要があります。
なぜなら、相続開始から6か月を経過すると、元本が確定してしまうからです。
元本確定とは、債務の額が確定され根抵当権の効果がなくなってしまうことをいいます。
引き続き根抵当権を利用したい場合は、6か月以内に債務者変更登記の手続きなどをおこなう必要があるため注意しましょう。
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根抵当権の不動産をそのまま相続する方法と流れ
相続後も事業継続のために根抵当権が設定された不動産を相続したい場合、どのようにしたら良いのでしょうか。
ここでは、根抵当権の付いた不動産をそのまま相続する流れを解説します。
一般的に、根抵当権の付いた不動産は以下のような流れで相続します。
- 債権者の金融機関に連絡を取る
- 遺産分割協議をおこない不動産の相続人を決定する
- 不動産を相続するための登記をおこなう
上記の流れに沿って順に見ていきましょう。
そのまま相続する流れ①債権者の金融機関に連絡を取る
根抵当権関係の手続きには、金融機関などの債権者が発行した書類が必要になります。
そのため、まずは金融機関に相続したことを伝え、必要書類の依頼をしましょう。
そのまま相続する流れ②遺産分割協議をおこない不動産の相続人を決定する
相続人が何人もいる場合は、誰が不動産を相続するのか決めなければなりません。
そのため、相続人全員で遺産分割協議をおこない、不動産の相続人を決定します。
一般的には、事業を引き継ぐ方が相続します。
また、不動産の債務者と所有者が異なる場合も、このタイミングで1つに統一しておくと、その後の手続きがスムーズでしょう。
そのまま相続する流れ③不動産を相続するための登記をおこなう
根抵当権の付いた不動産を相続するためには、「所有権移転登記」「債務者変更登記」「指定債務者の合意の登記」の3つの登記が必要です。
所有者移転登記とは、被相続人から相続人へ名義を変更する手続きのことです。
手続きには、登記申請書だけでなく、被相続人の除票および相続人の戸籍謄本や住民票、資産評価証明書などの提出が必要になります。
根抵当権の不動産を相続するためには、債務者を被相続人から相続人全員へ変更する債務者変更登記もおこなう必要があります。
その際に必要となる書類は、権利証をはじめ登記識別情報通知や印鑑証明書、資格証明書または会社謄本などです。
指定債務者の合意の登記は、相続後に債権者(金融機関など)と取引をする方を決めるための登記になります。
必要書類は、登記申請書および登記原因証明情報、委任状が必要です。
ただし、指定債務者の合意の登記は、債務者変更登記が完了したあとに登記します。
なお、これらの登記手続きは、相続開始から6か月以内におこなう必要があるため注意しましょう。
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相続した不動産に設定された根抵当権を抹消する方法
事業を引き継ぐ予定もないなど、根抵当権を残しておく必要がない場合もあるでしょう。
そのような場合は、根抵当権を残しておくメリットはないため、早めに抹消の手続きをおこなうことをおすすめします。
ここでは、相続した不動産に設定されている根抵当権を抹消する方法を解説します。
債務が残っていない場合の抹消方法
債務が残っていない場合は、根抵当権を設定している債権者(金融機関など)に抹消したい旨を伝え、合意が得られれば抹消することができます。
その際は、元本確定をし具体的な借入額を確定させ、債務がない場合は抹消登記をおこない手続きは完了します。
なお、登記手続きに関しては、専門的な知識も有することから、司法書士へ依頼するのが一般的です。
債務が残っている場合の抹消方法
根抵当権の利用により債務が残っている場合は、債務を返済しなければ抹消することはできません。
そのため、一般的にはその不動産を売却し、売却代金で完済し抹消する手続きに進みます。
ただし、売却代金で債務を返済できない場合は、以下の2つから選択する必要があります。
方法1:元本確定し抵当権として相続する
1つ目の方法は、元本確定したあとに、抵当権として相続する方法です。
抵当権として相続する場合は、相続後も債務の返済を続けることになります。
方法2:相続放棄する
2つ目の方法は、相続自体をすべて放棄する方法です。
債務が大きく返済が難しい場合は、相続放棄を検討するのも良いでしょう。
ただし、相続放棄には、相続開始から3か月以内と期限が定められています。
期限を過ぎると、相続放棄できなくなってしまうため注意しましょう。
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まとめ
根抵当権の付いた不動産を相続する際は、6か月以内に登記手続きをおこなう必要があります。
とくに、事業を引き継ぐ場合は、早めに手続きをおこなわなければ元本確定となってしまうため注意が必要です。
また、事業の予定がない場合は、不動産売却して債務を返済することになりますが、債務が多い場合は相続登記も視野に入れておきましょう。
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