不動産の共有持分とは?できることや相続でのトラブルを解説
- この記事のハイライト
- ●共有持分とは不動産を複数人で所有した場合における各所有者の権利の割合のこと
- ●共有持分でできることは、保存行為・管理行為・処分行為・変更行為の4つ
- ●不動産を共有するとメガ共有・他の共有者と連絡が取れない・共有物分割請求などのトラブルがある
不動産を相続する際に、相続人全員の共有名義にすると、トラブルの原因となることがあります。
本記事では、不動産の共有持分とはなにか、共有持分でできることや相続した不動産を共有することによって起こりうるトラブルについて解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続予定の方は、ぜひ参考になさってください。
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相続時に注意!不動産の共有持分とは?
複数名で不動産を所有する場合、それぞれの名義人が持つ所有権の割合を「共有持分」といいます。
たとえば、1個の不動産を3人で等しく所有している場合、各所有者の共有持分は1/3です。
共有持分の権利と義務とは
共有持分を持つ各所有者は、その持分に応じた権利と義務があります。
持分があれば、共有財産を利用したり、収益を得たりする権利がありますが、他の共有者の権利を侵害しない範囲でおこなう必要があります。
たとえば、共有する土地に建物を建てる場合は、他の共有者の同意が必要です。
また、共有財産の維持や管理の費用も、持分の割合に応じて分担する義務があります。
たとえば、共有する建物の修繕にかかる費用は、各所有者が持分に応じて負担します。
共有持分は売却できる?
共有持分は売却することができますが、自分の持分のみが売却可能である点に注意が必要です。
売却の方法には主に3つの選択肢があります。
1つ目は、他の共有者に売却する方法です。
共有持分のみの売却は、一般の買主を探すよりも、他の共有者に売却するほうが交渉しやすく、スムーズです。
2つ目は、共有持分分割請求をおこなって自分の持ち分を手放す方法になります。
共有持分分割請求とは、不動産などの共有物の共有状態を解消するために、共有者の1人が裁判所に提起する訴訟のことです。
共有持分のみの売却が難しい場合に利用される方法です。
3つ目は、専門の買取業者に依頼する方法になります。
共有持分は、不動産を活用する際に共有者の同意が必要など、いくつかのデメリットがあるため、個人の買主を探しにくいです。
そのため、共有持分の買取もおこなっている事業者に売却するのが一般的です。
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相続した不動産の共有持分でできることとは?
複数人で相続した不動産を共有する場合、各共有者は共有持分に基づいて特定の行為をおこなうことができます。
共有持分でできることは「保存行為」「管理行為」「処分行為」「変更行為」の4つに分けられます。
保存行為とは
共有持分の所有者が単独でおこなうことができる「保存行為」とは、共有する不動産の現状を維持することを目的とした行為です。
以下は保存行為の具体的な例です。
- 相続登記
- 不動産の現状維持のための修繕(雨漏りやひび割れの修繕など)
- 不法占拠者への明け渡し請求
- 不正登記の抹消請求
たとえば、不動産の修繕など、現状維持のための工事は基本的に他の共有者の同意を必要としませんが、トラブルを避けるためにも修繕前に他の共有者と相談することをおすすめします。
事前に相談せずにリフォームを進めると、他の共有者が修繕費用の支払いを拒否する可能性があるためです。
また、共有持分のみの売却や使用も単独でできることに挙げられます。
管理行為とは
「管理行為」とは、過半数の共有持分に基づいておこなうことができる行為を指します。
以下は管理行為の例です。
- 短期間の賃貸借契約の締結・解除
- 賃料の減額
- 共有物の使用方法の決定
- 資産価値を高めるためのリフォーム
短期間であれば、共有者全員の同意がなくても共有不動産を賃貸物件として貸し出すことができます。
短期間とは、土地の場合は5年以内、建物の場合は3年以内の契約を指します。
この期間を超えて賃貸借契約を締結する場合は、共有者全員の同意が必要です。
また「過半数の共有持分」とは、持分の割合が全体の過半数を占めることを意味します。
共有者の人数の過半数が同意することではないため、注意が必要です。
たとえば、4人の共有者がいる場合、3人が賛成しても、残る1人の共有持分が他の3人の持分を合わせたものよりも大きい場合、その管理行為は実施できません。
つまり、管理行為を進めるには、持分の割合に応じた共有者の同意が必要となります。
なお、令和5年4月1日施行の改正民法によると、共有物を使用する際に共有者の一部に特別な影響が及ぶ場合は、その共有者の承諾を必ず得る必要があると定められています。
また、一部の共有者の存在や所在が不明の場合、残りの共有者が不明者を除いた持分価格の過半数で共有物の管理に関する事項を決定できるよう、裁判を通じて決めることが可能です。
処分行為とは
処分行為とは、不動産全体の売却や建物の解体などがあります。
これらは共有者全員の権利に大きく関わるため、このような重大な決定をおこなう際には、すべての共有者の同意が必要です。
変更行為
変更行為は、共有物の主要な性質や用途を変更する行為、たとえば共有建物の増改築、共有地を宅地に造成することなどが挙げられます。
変更行為をおこなう場合は、他の共有者の同意が必要です。
しかし、令和5年4月1日施行の改正民法では、共有物の形状や効用に著しい変更をともなわない小規模な変更については、全員の同意がなくてもおこなうことが可能です。
さらに、一部の共有者の所在が不明である場合や連絡が取れない場合には、不明な共有者を除く他の共有者の同意があれば、裁判を通じて共有物に変更をくわえることが許可されます。
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相続した不動産の共有持分で起こりうるトラブルとは?
相続した不動産を相続人間で共有する際は、以下のトラブルが起こりうるため注意が必要です。
トラブル例①メガ共有
メガ共有とは、不動産の相続登記が長期間おこなわれず、多数の相続人(共有者)が発生する状態を指します。
何世代にもわたる相続が続く場合や複数の所有者が不動産を共有している場合に、適切な登記の更新がおこなわれないと、共有者の数が急激に増加することがあるのです。
数十人から数百人の共有者がいる不動産も珍しくなく、その結果、意思決定や管理が複雑になり、トラブルのリスクが高まります。
トラブル例②他の共有者と連絡が取れない
共有不動産においては、共有者間のコミュニケーションが不足すると、トラブルの原因になることがあります。
すべての共有者に重要な決定や行動が十分に伝えられていない場合、不信感や誤解が生じて後で紛争に発展する可能性が高いです。
たとえば、大規模な修繕工事や新たな賃貸借契約の決定など、重要な事項について情報が適切に共有されていないと、共有者の間で不満や問題が生じることがあります。
トラブル例③共有物分割請求
共有物を所有すると、共有者間で意見の不一致やトラブルが起こることがあります。
たとえば、不動産の売却を巡って、価値の評価や条件について意見が合わないことが多いです。
このような場合、共有物分割請求をおこない、共有状態を解消する方法があります。
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まとめ
共有持分とは、不動産を複数人で所有した場合に、各所有者の権利の割合のことです。
共有持分でできることは、保存行為・管理行為・処分行為・変更行為の4つです。
相続で不動産を共有すると、メガ共有や他の共有者と連絡が取れない、共有物分割請求などのトラブルが起こりうるため、ご注意ください。
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