相続税の非課税枠とは?控除制度や計算方法を解説
- この記事のハイライト
- ●相続税は遺産総額が基礎控除額を超えなければ課税されない
- ●基礎控除額の計算で重要な法定相続人には順位が定められている
- ●相続税法上で認められる養子の人数には制限があるため注意が必要
被相続人(死亡した方)の財産を相続すると、相続税が課されるため、申告・納税が必要です。
しかし、相続税は財産を相続した方全員に課税されるわけではありません。
相続税には基礎控除(非課税枠)があり、遺産総額によっては非課税となります。
この記事では、相続税の非課税枠について、計算方法や控除制度などを解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で相続を控えている方は、ぜひご参考になさってください。
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相続税の非課税枠とは
相続税は被相続人の遺産すべてにかかるのではなく、遺産総額から基礎控除額を差し引いたあとの金額に対して課税されます。
遺産総額とは、不動産や現金などのプラスの財産から、借金や相続人が負担する葬儀費用などを引いた金額のことです。
この遺産総額から差し引けるのが「基礎控除額」で、相続税の計算で使える非課税枠とも呼ばれています。
遺産総額が基礎控除額を超えなければ非課税となるため、相続税の申告や納税は必要ありません。
相続が発生したらまず基礎控除額を算出し、基礎控除額を上回る場合に相続税の申告準備を進めるのが基本的な流れとなります。
相続税がかからない財産もある
財産のなかには、相続税が課税されないものも存在します。
代表的なのが、仏壇や仏具、仏像、墓地、墓石、神棚などです。
このように宗教的な財産で、法事やお彼岸などでお参りするようなものには相続税はかかりません。
ただし、宗教的な財産であれば何でも非課税になるわけではありません。
仏像や仏壇、神棚などであっても、趣味で集めたものや売買用の骨とう品であれば課税対象です。
また、お墓や仏壇を買うためにローンを組んでも、その借金は相続税を計算する際の債務控除にはできません。
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相続前に知っておきたい!基礎控除額(非課税枠)の計算方法
相続は人生でそう何度も経験するものではありません。
相続がはじめてだと、相続税の目安がわからず不安になる方もいらっしゃるでしょう。
前章でも述べたように、相続税額を知るには、まず基礎控除額を求める必要があります。
ここからは、相続税の基礎控除額(非課税枠)を求める計算式を解説します。
基礎控除額の計算式
相続税の基礎控除額を求める計算式は以下のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円です。
つまり、遺産総額が4,200万円以下であれば、相続税はかからず申告も必要ありません。
一方で遺産総額が5,000万円だった場合は、「5,000万円−4,800万円=200万円」となり、基礎控除を超える200万円に相続税が課されます。
相続人の数が多いほど基礎控除が大きくなる
相続税の基礎控除額は、相続人の数が増えるほど高くなり、その分相続税は減少します。
簡単に計算できるよう、相続人の人数ごとによる基礎控除額の一覧を記載します。
- 相続人が1人の場合:基礎控除額は3,600万円
- 相続人が2人の場合:基礎控除額は4,200万円
- 相続人が3人の場合:基礎控除額は4,800万円
- 相続人が4人の場合:基礎控除額は5,400万円
- 相続人が5人の場合:基礎控除額は6,000万円
なお、法定相続人には養子も含まれます。
たとえば実子が1人、養子が1人いる場合は、法定相続人の数は2人となり、基礎控除額は4,200万円です。
相続人の数を増やせる養子縁組は、即効性のある相続税対策して有効です。
ただし、法定相続人に含められる養子には限りがあり、何人でも含めていいというわけではありません。
養子縁組と相続税に関する注意点は、のちほど解説します。
現在の基礎控除額は2015年1月1日の法改正によるもの
前述した計算式が適用されるようになったのは、2015年1月1日の法改正からです。
それまでの基礎控除額の計算式は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」でした。
法定相続人の数が1人の場合だと、改正前は6,000万円だった基礎控除額が、改正後は3,600万円と2,400万円も引き下げられています。
これまでは、財産を相続しても基礎控除額の範囲内に収まり、相続税の申告を不要とするケースがほとんどでした。
しかし、2015年に基礎控除額が引き下げられたことで、相続税の申告・納税が必要となる方は増えています。
とくに、都市部に実家がある場合は、相続税評価額が高くなりやすいため注意が必要です。
預貯金や株式などほかの遺産がなくても、不動産の評価額だけで基礎控除を超えてしまい、相続税の対象になる可能性があります。
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相続税の非課税枠とは?計算時に注意したいポイント
相続税はほかの税金とは異なり、ご自身で計算する必要があります。
計算ミスによるトラブルを避けるためにも、注意したいポイントを確認しておきましょう。
法定相続人の数をしっかりと把握する
先述したように、相続税の基礎控除額は法定相続人の数によって変動します。
そもそも「法定相続人ってなに?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
法定相続人とは、民法で定められている「遺産を相続する権利のある方」のことです。
被相続人が遺言書を作成していない場合、一般的には法定相続人が遺産を相続します。
配偶者は常に法定相続人となり、配偶者以外の相続人には以下のような「順位」が定められています。
- 第1順位:被相続人の子ども(直系卑属)
- 第2順位:被相続人の父母(直系尊属)
- 第3順位:被相続人の兄弟姉妹
上記の順位に従い、もっとも順位の高い関係性の方のみが法定相続人になります。
たとえば、被相続人が配偶者と子どもを残して亡くなった場合、法定相続人は妻と子だけになります。
妻や子がいなければ父母、父母もいなければ兄弟姉妹のように、順番に相続権が移行する仕組みです。
法定相続人の数を誤って計算しないよう、誰が法定相続人に該当するのか、しっかりと把握しておきましょう。
養子縁組の相続人の数に上限がある
養子も基礎控除額の人数に含められますが、以下のとおり上限が設けられています。
- 被相続人に実子がいる場合:法定相続人となる養子の数は1人まで
- 被相続人に実子がいない場合:法定相続人となる養子の数は2人まで
たとえば養子が2人いても、実子がいれば基礎控除を計算する際の法定相続人に含められるのは1人だけです。
相続税対策で養子縁組を利用する方もいますが、相続税法上で認められる養子の人数には制限があることを理解しておきましょう。
相続放棄した方がいても基礎控除額は減らない
相続人のなかには、被相続人の遺産を取得せずに「相続放棄」をする方がいるかもしれません。
相続放棄をすると、はじめから相続人でないものとみなされますが、基礎控除額の計算には含めることが可能です。
たとえば妻と子ども2人が相続人で、うち子ども1人が相続放棄をしたとしましょう。
この場合、遺産を相続するのは2人ですが、相続税の基礎控除額は3人で計算します。
相続放棄をする方は財産を相続しないため、計算から外してしまいがちです。
損をしないためにも、相続放棄をする方がいれば、忘れずに法定相続人の数に含めましょう。
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まとめ
相続税には基礎控除(非課税枠)が設けられており、その金額を超えなければ相続税はかかりません。
基礎控除額は法定相続人の数によって変わるため、まずは誰が法定相続人該当するのかしっかり把握しておく必要があります。
相続税の計算は簡単なように見えて複雑なものも多いので、不安なことや疑問点があれば税理士へ相談することをおすすめします。
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