事実婚のパートナーに財産を相続したい!相続権の有無や注意点などを解説
- この記事のハイライト
- ●事実婚のパートナーは法定相続人に含まれないため原則として財産を相続できない
- ●遺言書や生前贈与を活用すれば事実婚のパートナーに財産を渡すことができる
- ●相続税には特例や控除が用意されているが事実婚のパートナーは適用できない
結婚に対する考え方が多様化しつつある現代では、夫婦同然の関係であっても籍を入れないケースが増えています。
籍を入れずに生計をともにする結婚の形を「事実婚」といいますが、事実婚のパートナーにも相続権はあるのでしょうか。
この記事では、事実婚のパートナーに財産を相続できるのか、相続方法や注意点もあわせて解説します。
一宮市や名古屋市、西尾張で不動産を相続するご予定のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
相続発生前に知っておきたい!事実婚のパートナーに対する相続権の有無
事実婚とは、法律上の婚姻手続きをおこなわずに夫婦同然の生活を送ることです。
結論からお話しすると、事実婚のパートナーは法定相続人に該当しないため、遺産を相続できません。
法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる方のことで、配偶者と血族のみと定められています。
事実婚のパートナーを法定相続人にするには、婚姻届を提出し、法律上の夫婦関係になる必要があります。
長年連れ添った相手に対して「自分の財産を引き継ぎたい」と考えるのは一般的な感情でしょう。
しかし、相続を目前にして籍を入れると、ほかの相続人とトラブルになる可能性があります。
事実婚のパートナーに財産を渡したい場合は、遺族と揉めないよう、生前にしっかり対策しておくことが重要です。
法定相続人には順位がある
遺言書での指定がなければ、被相続人の遺産は法定相続人が相続することになります。
しかし、法定相続人だからといって必ずしも遺産を相続できるわけではありません。
法定相続人には順位があり、該当者がいなければ相続権が順番に移るようになっています。
- 第一順位・・子(死亡している場合は孫)
- 第二順位・・父母(死亡している場合は祖父母)
- 第三順位・・兄弟姉妹(死亡している場合は甥姪)
第一順位の方がいない場合は第二順位の方、第二順位もいなければ第三順位という流れで相続権が移ります。
配偶者は常に相続人となりますが、事実婚のパートナーは上記の順位には含まれないため、遺産を相続できません。
子どもには相続権がある
パートナーとの間に授かった子どもがいる場合は、父親が認知しているかどうかで相続権の有無が異なります。
事実婚カップルの間にできた子どもは、母親を筆頭者とする新しい戸籍に入ります。
この段階では、父親の欄は空欄となっており、法律上では父親との親子関係はありません。
子どもが法律的に父親と親子関係を結べるのは、父親が「認知」をおこなったときです。
つまり認知がされなければ、実の子でも法定相続人にはなれないため、父親の遺産を相続できません。
一方で父親が認知をすれば、両親が籍を入れていなくても、生まれた子どもには遺産を相続する権利があります。
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事実婚のパートナーに財産を相続するには?3つの対策方法
事実婚のパートナーに財産を引き継ぎたいときは、生前対策がなによりも重要です。
おもな対策方法として、以下の3つが挙げられます。
- 生前贈与をおこなう
- 遺言書で指定する
- 生命保険の受取人にする
それぞれの対策方法について順番に解説します。
生前贈与をおこなう
生前贈与は受け取る相手に決まりがないため、事実婚のパートナーにも財産を引き継ぐことが可能です。
贈与をおこなうと贈与税が発生しますが、贈与額を年間110万円までに抑えれば申告・納税は必要ありません。
しかし財産の金額が大きいと、年間110万円ずつではすべての財産を贈与し切れないこともあるでしょう。
もし贈与者が財産を残したまま亡くなった場合、その財産は法定相続人が相続することになります。
年間110万円以内の贈与で財産を渡し切れないようであれば、対策方法の1つとして遺言書を作成しておくのがおすすめです。
遺言書で指定する
生前に遺言書を作成し、事実婚のパートナーを財産の受取人に指定するのも手段の1つです。
遺言書がない場合は法定相続分で遺産を分割しますが、遺言書があればその内容を優先するよう定められています。
ただし、遺言書で「パートナーに遺産を相続する」と指定しても、すべての財産を渡すことはできません。
法定相続人には「遺留分」といって、最低限の相続財産を請求できる権利があるためです。
遺留分を考慮せずに遺言書を作成すると、パートナーが遺族とトラブルになる恐れがあるため注意が必要です。
トラブルを避けて円満に相続が進むよう、専門家に相談しながら遺言書を作成することをおすすめします。
生命保険の受取人にする
事実婚のパートナーに財産を引き継ぐため、生命保険の受取人に指定する方法もあります。
死亡保険金の受取人は、配偶者と2親等以内の血族(祖父母・父母・子・孫など)に限定されているケースが一般的です。
しかし、次のような要件を満たすことで、事実婚のパートナーを受取人に指定できる保険会社も存在します。
- 事実婚のパートナーに戸籍上の配偶者がいない
- 一定期間以上において生計を共にしている
- 一定期間以上において同居していること
生計を共にしている期間や同居期間は、保険会社によって異なるため、直接確認しておくことをおすすめします。
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事実婚のパートナーに財産を相続する前に確認したい!注意点とは
遺言書を作成しておけば、事実婚のパートナーに遺産を相続できると解説しました。
しかし遺産を相続できても、籍を入れていないことで特例を適用できず、パートナーに多額の税金が課される可能があります。
残されたパートナーに負担をかけないためにも、法定相続人以外への相続における注意点を確認しておきましょう。
相続税が2割加算される
籍を入れていないパートナーへの相続は、相続税の2割加算の対象です。
相続税の2割加算とは、相続人が配偶者または一親等の血族に該当しない場合に、本来納めるべき相続税額に2割加算されるという制度です。
夫婦同然の生活を送っていても、法律において事実婚のパートナーは配偶者に当てはまりません。
事実婚のパートナーが相続を受ける際は、通常よりも高い相続税を納めることになります。
配偶者控除を利用できない
配偶者が遺産を相続する際には「配偶者控除」を適用できます。
配偶者控除とは、1億6,000万円または法定相続分相当額のうち、いずれか多いほうまでは相続税が非課税となる制度です。
この特例を受けられるのは「戸籍上の配偶者が遺産を相続する場合」に限るため、事実婚のパートナーは適用対象外です。
相続税の税率は10~55%で、遺産の金額が大きいほど支払う相続税も高くなります。
事実婚のパートナーでも遺産を相続できますが、相続税の負担は配偶者よりも大きくなるでしょう。
小規模宅地等の特例を適用できない
小規模宅地等の特例とは、土地を相続した際に、要件を満たすと敷地部分の相続税評価額を80%まで減額できる制度です。
たとえば5,000万円の土地を相続した場合、特例を利用すると1,000万円まで相続税評価額を下げられます。
節税効果の高い制度ですが、要件に「取得者が親族であること」が入っているため、事実婚のパートナーは適用対象外です。
パートナーに少しでも財産を残したいと考える方は多いですが、財産は相続して終わりではありません。
相続した財産には相続税が発生し、パートナーの状況や財産の内容によっては大きな負担を抱えてしまう可能性があります。
どの選択肢がベストなのか判断に迷う場合は、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
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まとめ
長年連れ添ったパートナーであっても、夫婦として籍を入れていなければ財産は相続できません。
財産を引き継ぎたい場合は、遺言書を作成するか、生前贈与や生命保険の受取人に指定する方法もあります。
遺言書で指定する際は、相続税に関する特例や控除を利用できない旨をしっかり説明しておきましょう。
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