万が一に備えられる「家族信託」のやり方とは?必要書類や注意点も解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

万が一に備えられる「家族信託」のやり方とは?必要書類や注意点も解説

この記事のハイライト
●老後に備えて信頼できる家族に財産の管理や処分を任せる制度を家族信託という
●家族信託を利用する際には多くの書類が必要なので事前に確認しておくことが大切
●家族信託を利用する際にもっとも大切なのは家族全員の理解を十分に得ることである

高齢化が進んでいる近年、家族信託の必要性が高まりつつあります。
家族信託は家族による財産管理の方法で、認知症対策の一つでもあります。
高齢の親がおり、相続を控えている場合は、ぜひ家族信託について考えてみてはいかがでしょうか。
この記事では家族信託について、手続きの流れや必要な書類、注意点を解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で家族信託をご検討中の方や相続を控えている方は、ぜひ参考にご覧ください。

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家族信託のやり方とは①手続きの基本的な流れ

家族信託のやり方とは①手続きの基本的な流れ

家族信託とは、家族による財産管理の方法であり、認知症対策の1つでもあります。
財産のもとの所有者である委託者が、受託者に財産の管理などを任せて、その財産から発生した利益を受益者が得る仕組みです。
たとえば親が認知症を患い財産を管理できなくなった時、子どもだからといって親の財産を自由に扱うことはできません。
親が施設に入って自宅が空き家になっても売却できず、税金や管理の手間がかかり続けてしまうでしょう。
しかし家族信託を利用すれば、親が認知症になっても、子どもが信託された財産の管理や運用、処分できるようになります。
また、家族信託によって親が財産の承継者を決めておくと、相続争いが起こる心配を軽減できます。
スムーズに手続きができるよう、まずは家族信託の基本的な流れを確認しておきましょう。

家族信託の手続きの流れ1:話し合い

家族信託においてもっとも大切なのは、始めの話し合いです。
話し合いを始める際には、まず家族信託を利用する目的をしっかりと定めておきましょう。
目的が曖昧だと、達成するために必要なことがわからず、なかなか信託内容が決まりません。
また、個人の判断で勝手に手続きを進めてしまうと、トラブルになる可能性があります。
目的をしっかりと定めた上で、家族全員が納得するように話し合うことも大切です。

家族信託の手続きの流れ2:信託契約書の作成および締結

信託の内容が決まったら、信託契約書の作成と締結をおこないましょう。
信託契約書には目的や信託財産、委託者や受託者の氏名などを記載します。
なお、作成した契約書は、公証役場にて公正証書にしておくのがおすすめです。
公正証書にすると、信託契約書が委託者の意思に基づくことを公的に証明できるため、トラブルの防止に繋がります。

家族信託の手続きの流れ3:信託財産の名義変更

続いて、信託財産の名義を受託者に変更します。
名義変更のやり方は、財産の種類によって異なるので注意が必要です。
たとえば、土地や建物といった不動産を信託する場合は「信託財産の登記」をおこないます。
登記の手続きをすると、信託登記の形で名義が変更されて、委託者からの信託財産であることが明記されます。

家族信託の手続きの流れ4:口座の開設

最後に、口座の開設をおこないます。
受託者は財産をもらったわけでないので、管理をするために信託専用の口座を作るのが一般的です。
金融機関によっては、信託口座の開設に対応していない場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

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家族信託のやり方とは②手続きの際に必要な書類

家族信託のやり方とは②手続きの際に必要な書類

家族信託をおこなう際には、さまざまな書類が必要になります。
事前に把握しておくとスムーズに収集できるので、あわせて必要書類も確認しておきましょう。

家族信託の申請で必要な書類一覧

家族信託の手続きにおける必要書類は以下のとおりです。

  • 印鑑証明書と実印(受託者と受益者)
  • 戸籍謄本や戸籍抄本
  • 本人確認書類
  • 信託する財産に関する資料

受託者と受益者の印鑑証明書は「発行から3か月以内のもの」を準備します。
戸籍謄本や戸籍抄本は、家族関係を証明するために必要です。
いずれも市役所で取得できるほか、マイナンバーカードがあればコンビニエンスストアでも発行できます。
本人確認書類には、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きのものを用意しましょう。
また、信託する財産によっては、上記のほかにも必要となる書類があります。
たとえば、不動産を信託する場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税課税明細書などを準備しなければなりません。
これらの書類は、信託契約書を公正証書にするタイミングで必要になるので、それまでに揃えておきましょう。

家族信託の際におこなう不動産登記の必要書類

先述したように、信託財産は名義変更が必要です。
不動産の場合は登記手続きが必要で、その際には以下のような書類を提出します。

  • 印鑑証明書と実印(委託者)
  • 登記済証または登記識別情報
  • 本人確認書類(委託者と受託者)
  • 住民票(受託者)

委託者の印鑑証明書は、3か月以内に発行されたものを提出します。
登記済証または登記識別情報は、不動産所有者だけが受け取れる書類です。
不動産取得日が何十年も前だと保管場所を忘れていることも多いので、早めに探してきましょう。
書類が見つからない場合は、司法書士などの専門家に依頼して登記手続きを進めることが可能です。
場合によっては上記以外の書類が必要になることがあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

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家族信託のやり方とは③手続きをする際の注意点

家族信託のやり方とは③手続きをする際の注意点

家族信託を検討される場合、やり方だけではなく、注意点を把握しておくことも大切です。
トラブルを防ぐためにも、とくに押さえておきたい注意点を3つ確認しておきましょう。

家族信託の注意点1:家族全員の理解を得る

家族信託を利用する際に大切なのは、家族全員の理解を得ることです。
家族信託の利用に納得していない方や、仕組みを理解していない方がいると、あとから大きなトラブルに繋がる可能性があります。
委託者や受託者だけではなく、全員が家族信託の目的や流れを把握し、利用に納得してから手続きを進めることが大切です。

家族信託の注意点2:信託内容をしっかりと決めておく

家族信託を利用する際は、以下の点を決めてから手続きを進めましょう。

  • 利用する目的
  • 受託者や受益者
  • 信託する財産

家族信託を利用する目的は、初めにしっかり決めておくことが大切です。
目的が定まっていれば、信託する財産や受託者などを決定しやすくなります。
なお、受託者には「受託者管理人」を設定できます。
受託者管理人とは、受託者が契約どおりに財産の管理や運用をしているか確認する方です。
「受託者だけに任せるのは不安だな」という場合は、受託者管理人も決めておきましょう。

家族信託の注意点3:ほかの方法も視野に入れておく

家族が財産を管理する方法として、成年後見制度もあります。
成年後見制度とは、判断能力が低下した方のために、法律行為についてサポート役を選任する制度です。
状況によっては、成年後見制度のほうが適していることもあるでしょう。
また、達成したい目的によっては、遺言書などで対応できることがあるかもしれません。
相続における制度は幅広く、ご自身にあった選択をするには、家族信託以外の方法も検討することが大切です。
目的を達成するために適した方法はどれか、しっかりと見極めてから手続きを始めましょう。

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まとめ

家族信託は、家族による財産管理の方法で、認知症対策の一つでもあります。
親が認知症になり判断能力が低下すると、預金の利用や不動産の売却などができなくなってしまいます。
いざという時に慌てないためにも、家族全員で十分に話し合い、家族信託の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事の執筆者

このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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