相続人不存在とは?遺産の相続や手続き方法について解説
- この記事のハイライト
- ●相続放棄や法定相続人の死亡により相続人不存在となる場合がある
- ●遺言書を作成することで第三者に財産を遺贈できる
- ●相続人不存在の場合は相続財産清算人選任の申し立てが必要
親が生前に所有していた財産は、基本的に法定相続人である子が引き継ぐことになります。
子どもがおらず、そのほかの相続人もいないとなった場合、故人の財産はどうなるのでしょうか。
この記事では「相続人不存」について、遺産の行先や手続き方法などを解説します。
一宮市や名古屋市、西尾張で相続を控えている方は、ぜひ参考になっさってください。
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相続人不存在とは?相続人がいない3つのケース
被相続人の遺産は、配偶者や子など相続権を有する「法定相続人」が取得するのが一般的です。
しかし「相続人不存在」といって、相続人が一人も存在しないケースもあります。
はじめに、相続人不存在の概要と相続人不存在となるケースから確認しておきましょう。
相続人不存在とは
相続人不存在とは、その名のとおり、相続人が存在しない状況を指します。
相続人が存在しない状況と聞くと、身寄りのない方が亡くなったようなケースを思い浮かべるかもしれません。
実際に少子高齢化が進む日本では、身寄りのない高齢者の孤独死が増えており、相続人不存在であることも多々あります。
しかし、相続人不存在になる原因はそれだけではありません。
相続人不存在となるケースとして、以下の3つが挙げられます。
法定相続人が一人もいない
まず挙げられるのが、法定相続人が誰一人として存在していないケースです。
遺産の相続については、以下のように民法によって法定相続人の順位が決まっています。
- 第一順位:子
- 第二順位:親
- 第三順位:兄弟
なお、配偶者は常に法定相続人です。
たとえば両親がなくなった場合、本来であれば第一順位である子が遺産を相続します。
子がいなければ第二順位である両親、両親もいなければ第三順位の兄弟が相続人となる流れです。
上記の順位の方が全員亡くなっていた場合は、相続人不存在に該当します。
法定相続人が相続放棄をした
法定相続人は存命であるものの、その方が相続放棄をしたことで相続人不存在になることもあります。
相続の対象となるのは、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金といったマイナスの財産も含まれます。
プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多い場合、相続放棄を選択するケースは珍しくありません。
第一順位の方が相続放棄をすると、相続権は第二順位の方に移動しますが、全員が相続放棄をすることもあります。
相続人全員が相続放棄をすれば遺産を相続する方がいないため、この場合も相続人不存在に該当します。
法定相続人が欠格・廃除により相続する資格を失った
法定相続人の行為によって「欠格」や「廃除」となり、相続権を失うこともあります。
欠格とは、被相続人やほかの相続人を殺害したり、自分に有利になるような遺言を強要したりなど、法律を犯すような行為が原因で相続権を失うことです。
廃除とは、被相続人を虐待したり侮辱したりした相続人に対し、被相続人が自らの意思で相続権を剥奪することをいいます。
たとえば親が亡くなり、子が財産を相続する予定だったにも関わらず、子の不当な行為で相続権が剥奪されたとしましょう。
第二順位や第三順位に該当する方がおらず、相続人が子のみだった場合は、相続人不存在となってしまいます。
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相続人不存在の遺産の行方は?第三者が相続できるのか?
相続人不存在の場合、遺産はどうなるのか気になりますよね。
また「第三者に相続させられるのなら検討したい」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで次に、相続人不存在となった場合の遺産の行方について解説します。
遺贈がある場合
被相続人が遺言書を作成しており、遺贈する旨が記載されている場合は、遺産はその特定の方が取得することになります。
遺贈とは、遺言によって特定の誰かに遺産を引き継がせることで、相続人以外の方にも財産を引き継がせることが可能です。
たとえば、生前にお世話になった知人やヘルパー、慈善団体などへの寄付として遺贈されるケースもあります。
特別縁故者がいる場合
特別縁故者とは、相続権を有する方がいないことを条件に、遺産を取得する権利が生じる方です。
一緒に生活していた方や介護をしていた方など、被相続人と親しい関係にあった場合に、特別縁故者として認められることがあります。
裁判所により相当の関係があると認められ、特別縁故者となれば、被相続人の遺産を受け取ることが可能です。
ただし、特別縁故者として財産の受け取りを希望する場合は、相続財産清算人選任の申し立てをおこなわなければなりません。
手続きには時間と手間がかかること、また必ずしも認められるわけではないことを理解しておきましょう。
遺贈がおらず特別縁故者もいない場合
遺言書がなく、遺産を取得できる特別縁故者もいない場合は、遺産は国のものになります。
なお、特別縁故者がいても、その方が遺産をすべて受け取れるとは限りません。
遺産の一部分だけ受け取ることが認められる場合もあり、残った遺産は国庫に帰属されるのが基本です。
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相続人不存在の遺産管理における相続財産清算人選任の手続きとは
相続人不存在で亡くなった方の財産は、原則として「相続財産清算人」が管理します。
そのためには、以下のような手続きが必要です。
①相続財産清算人の選任
まず、故人と利害関係にあった方(債権者や遺言で指定された方など)が、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てます。
相続財産清算人に選任されるのは、弁護士であることがほとんどです。
申し立てを受けた家庭裁判所は、官報で2か月間故人の死亡を公告し、相続人がいないか、いる場合は名乗り出るよう求めます。
②債権申立ての公告
家庭裁判所は上記の公告に加え、被相続人に対する債権者や受遺者がいる場合には届け出るよう求めます。
公告期間は2か月以上に設定するのが一般的で、期間満了後に債権者と受遺者に対して遺産から弁済がなされます。
③相続人捜索の公告
それでも相続人が見つからない場合、家庭裁判所はさらに相続人捜索の公告を行います。
6か月以上の公告期間を設け、これでもなお相続人が現れなかった場合に「相続人不存在」が確定します。
特別縁故者への財産分与の申立て
相続人不存在の確定後、3か月以内であれば特別縁故者が遺産を相続することが可能です。
特別縁故者による申立てがない場合や、申立てが認められず却下された場合は、故人の遺産は国のものになります。
このように、相続人不存在を確定するまでには3回の公告が行われ、約1年間の期間を要することになります。
そして、債権者や財産をもらうとされていた方、また特別縁故者もいない場合は、遺産は最終的に国のものになるのです。
相続人不存在となることがわかっている場合は、遺言書を作成し、ご自身の財産をどうするか決めておくようにしましょう。
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まとめ
相続人不存在は、相続放棄や相続人の欠格・廃除が原因で生じるケースもあり、誰も遺産を相続する方が現れなければ遺産は国のものになります。
遺産を相続したいのが第三者であっても、被相続人が自分の意思で遺言書を作成してその方を指定すれば、遺贈することが可能です。
お世話になった方に遺産を渡したり団体に寄附したりなど、ご自身の希望どおりに財産を遺すためにも、元気なうちに遺言書を作成しておくのがおすすめです。
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