相続時の遺言書は3種類!自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言を解説
- この記事のハイライト
- ●相続の遺言書の種類のなかで「自筆証書遺言」が自分で手軽に作成できるため一般的である
- ●公証人が作成する「公正証書遺言」は無効になりにくいメリットがある一方手間と費用がかかる
- ●「秘密証書遺言」は遺言の中身を秘密にできることがメリットで紛失のリスクがある点がデメリット
不動産を相続する際は、遺言書があるとスムーズです。
本記事では、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」と呼ばれる3種類の遺言書の特徴とメリット・デメリットを解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
\お気軽にご相談ください!/
相続の遺言書の種類①自筆証書遺言について
遺言とは、亡くなった方(被相続人)が生前に、自分の財産を誰に、どれだけ残すのかについて意思を表明したものです。
その意思を書面に残したものが遺言書です。
遺言書があれば、遺産は基本的に遺言書に書かれた内容にしたがって分配されます。
そのため、遺産の分け方をめぐって相続人同士で争いが起きにくくなります。
また、法律で定められた相続人以外の人に財産を譲ったり、寄付したりすることも可能です。
たとえば、介護でお世話になった長男の妻は法定相続人ではありませんが、遺言によって財産を譲ることができます。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、遺言者自身が遺言書の本文を自分の手で書いて作成する遺言書のことです。
手軽に作成でき、一般家庭でもっとも普及している遺言書の種類です。
自筆証書遺言を作成する際、特別な筆記用具や紙は必要ありません。
手元にあるボールペンとノート、印鑑があれば、すぐにでも作成できます。
遺産となる財産が多数ある場合は、遺言書本文にひとつ一つ書き込むのが大変です。
そんなときは、本文に「別紙の財産目録に記載した財産を○○に相続させる」と簡潔に書き、パソコンで作成した財産目録を添付すれば済みます。
財産目録自体は自筆である必要はありません。
つまり、遺言書の本文さえ自筆であれば、自筆証書遺言として有効です。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言の最大のメリットは、作成が手軽で費用がかからないことです。
専門家に依頼する必要もなく、金銭的な負担がまったくありません。
また、作成後は法務局に無料で預けられる「遺言書保管制度」を利用できます。
この場合、法務局の検認(公的機関による確認)を受ける必要もありません。
つまり、極めて手軽に、かつ無料で自筆証書遺言を作成し、保管することが可能な点が大きなメリットでしょう。
自筆証書遺言のデメリット
一方で、自筆証書遺言にはさまざまなデメリットもあります。
作成時の細かい要件を満たさないと、遺言書が無効になってしまう危険性があります。
たとえば、遺言者自身の手書きでない場合や、日付の記載がない場合などは無効です。
また、遺言書の文面が不明確だと、遺言者本人の真意が伝わらず、相続人同士で遺産をめぐって争いになる恐れがあります。
さらに、自筆証書遺言は紙一枚の書面なので、紛失したり発見されなかったりするリスクもあるでしょう。
故意に隠匿、破棄、改ざんされる可能性も否定できません。
法務局に預けなかった場合は、検認を受ける必要があり、手続きが面倒になります。
▼この記事も読まれています
相続後の不動産売却での注意点とは?名義・売却期限・媒介契約の選び方を解説
\お気軽にご相談ください!/
相続の遺言書の種類②公正証書遺言について
公正証書遺言は、公証人役場で公証人に作成を依頼する遺言書のことです。
公証人は、遺言者の意思を確実に確認し、法的な要件に適合するよう細かく指導します。
そして遺言者の意思を文書化し、公証役場で手続きをおこないます。
つまり、公的な第三者機関である公証人が関与するため、遺言書の内容が法的に正しく、遺言者本人の真の意思が反映されており安心です。
このように、公正証書遺言は遺言書作成時の確実性が高い形式なのが大きな特徴になります。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言書です。
公証人は専門家として、遺言者の意思を確認し、法的要件を満たすよう細かく指導してくれます。
そして公証役場で手続きをおこない、その内容を文書化します。
つまり、公正証書遺言なら無効になるリスクが低く、相続人同士で遺言書の内容をめぐって争いが起きにくくなるのがメリットです。
また、公正証書遺言の原本は公証役場で保管してもらえます。
そのため、自宅保管の場合のように遺言書を紛失したり、相続人に隠匿・改ざん・破棄されたりするリスクがありません。
さらに、遺言検索サービスを利用できるため、遺言者が亡くなった際に遺言書を発見しやすくなります。
くわえて、検認の手続きが不要になるメリットもあります。
その他、公証人に自宅や病院に出向いてもらって作成できたり、文字を書けなくても作成が可能だったりと、利便性の高い点もメリットです。
公正証書遺言のデメリット
一方でデメリットは、専門家に依頼する分、作成費用が高額になることです。
また、公証役場で手続きをおこなう必要があり、証人2人を立てる必要があるなど手間もかかります。
つまり、公正証書遺言は費用と手間がかかる点がデメリットです。
▼この記事も読まれています
相続時精算課税制度の概要とは?計算方法と注意点を解説
\お気軽にご相談ください!/
相続の遺言書の種類③秘密証書遺言について
秘密証書遺言は、遺言者自身が作成した遺言書の存在を、公証人と2人の証人の前で保証してもらう形式の遺言書です。
手順として、まずは遺言者が自分で遺言書を用意します。
ただし、遺言書の中身は公開しません。
そして2人の証人を連れて公証役場に行き、公証人の前で遺言書の存在を証明してもらいます。
つまり、遺言書の中身ではなく、遺言書そのものの存在を公的に確認してもらうのが目的です。
秘密証書遺言の特徴は、遺言書本文の内容はブラックボックスのまま済むことです。
公証人や証人に内容を見せる必要はありません。
さらに、署名と押印さえ遺言者自身でおこなえば、あとは遺言書の作成はパソコンでの入力や、他人に代筆してもらうことも認められています。
秘密証書遺言のメリット
秘密証書遺言の最大のメリットは、遺言書の内容をプライバシーとして完全に秘匿できる点にあります。
公証人や証人に遺言書の中身を見せる必要がありません。
内容は遺言者自身しか知り得ません。
プライバシーを守りたい方にとって大きな利点でしょう。
また、文字を書くのが苦手な方でも作成が可能です。
署名と押印さえ遺言者自身でおこなえば、遺言書本文の作成はパソコンでの入力や、他人に代筆を依頼するのも認められているからです。
秘密証書遺言のデメリット
一方で、秘密証書遺言にはデメリットも多くあります。
まず無効になりやすい点が危険です。
日付の記載がないなど、作成時の要件を満たさないと無効となってしまいます。
さらに、自宅で保管する以上、紛失したり隠匿されたりするリスクがつきまといます。
亡くなった後に発見されないリスクもデメリットです。
そのほか、検認が必要になるため手間がかかります。
公証役場に赴く必要があり、証人2人を立てる必要があるため費用もかさむでしょう。
プライバシーを最優先したい場合を除き、あまり選択されない種類の遺言書です。
▼この記事も読まれています
相続時に請求できる寄与分とは?認められる要件と特別寄与料も解説
まとめ
相続の遺言書の種類のなかでは自分で手軽に作成できる「自筆証書遺言」が一般的ですが、無効になりやすい点がデメリットです。
公証人が作成する公正証書遺言は、無効になりにくいメリットがある一方で、手間や費用がかかる点がデメリットです。
秘密証書遺言は、遺言の中身を秘密にできるメリットがある一方、紛失するリスクがあります。
一宮市の不動産売却・買取のご相談は地域密着の一宮市不動産売却センターにお任せください。
相続不動産や空き家・空地などを売りたい、というお悩みや心配ごとは弊社が無料で相談を承ります。
ご遠慮なくお問い合わせください。
”不動産コラム”おすすめ記事
-
相続税における「更正の請求」とは?期限や手続きの流れなどを解説!
不動産コラム
-
不動産か現金か?相続するならどっちが得かを解説!
不動産コラム
-
相続税の非課税枠とは?控除制度や計算方法を解説
不動産コラム
-
事実婚のパートナーに財産を相続したい!相続権の有無や注意点などを解説
不動産コラム
-
万が一に備えられる「家族信託」のやり方とは?必要書類や注意点も解説
不動産コラム
-
相続対策で注目の家族信託とは?家族信託のメリット・デメリットを解説
不動産コラム