不動産の共有名義人の片方が他界したら誰が相続人になる?流れと注意点を解説
- この記事のハイライト
- ●不動産の共有名義の片方が他界した場合は亡くなった方の法定相続人が相続する権利がある
- ●相続手続きは相続人を確定させて遺産分割協議をおこなってから相続登記の手続きをする流れである
- ●共有名義の不動産を相続する際は相続時に権利関係が複雑になりトラブルに発展しやすい点に注意する
共有名義の不動産を所有している場合は、片方が他界したら誰が相続するのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。
原則として共有者が相続人よりも優先されることはなく、共有名義の持分も相続財産の一部として扱われます。
そこで、不動産の共有名義人の片方が他界した場合は、誰が相続するのか、相続手続きの流れや注意点について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で共有名義の不動産を所有している方は、ぜひ参考になさってください。
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目次
不動産の共有名義人の片方が他界した場合は誰が相続する?
不動産を共有で所有しており片方が他界してしまった場合、共有していた所有者がそのまま引き継ぐのでは?と疑問に思う方もおられるでしょう。
しかし、実は共有者であっても、もう片方の持ち分をそのまま引き継ぐわけではありません。
ここでは、共有名義人の片方が他界してしまった場合は、誰が相続する権利があるのかを解説します。
法定相続人に相続する権利が生じる
不動産を共有していた片方が他界してしまった場合、その不動産の持分が自動的に共有者へ移るということは基本的にありません。
他界された方の持分については、法定相続人が相続する権利を有することになります。
通常、共有者の片方が他界した場合は、共有持分は遺産相続の対象となり、法定相続人が遺産分割をおこなう必要があります。
ただし、遺言書がある場合は遺言書の内容に沿って遺産分割をおこない、ない場合は法律で定められている法定相続分によって遺産分割をおこなうのが原則です。
このように、共有名義人であっても優先して引き継ぐことはできないため注意しましょう。
相続の順位と財産の割合
法律で定められた相続人を「法定相続人」と呼び、以下のように相続する優先順位が決められています。
- 第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:親(亡くなっている場合は祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)
法定相続人は、亡くなった方の配偶者と上記の血族のみです。
配偶者は必ず相続人になり、配偶者以外の相続人には第1順位~第3順位と相続順位が決められています。
先順位の相続人が1人でもいる場合は、後順位の方は相続人にはなれません。
たとえば、亡くなった方に配偶者と子どもがいれば、配偶者と第1順位の子どもが相続人になります。
また、民法では相続財産を相続する割合(法定相続分)も決められています。
相続人と割合は以下のとおりです。
- 配偶者:法定相続分100%
- 配偶者と第1順位(子や孫):配偶者1/2 子ども(全員で)1/2
- 配偶者と第2順位(親や祖父母):配偶者2/3 親(全員で)1/3
- 配偶者と第3順位(兄弟姉妹や甥・姪):配偶者3/4 兄弟姉妹(全員で)1/4
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の場合は、配偶者が1/2で、子どもは全員で1/2なので1人あたりは1/4ずつが相続分となります。
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不動産の共有名義人の片方が他界したときの相続手続きの流れ
不動産の共有名義の片方が亡くなった場合、相続人が誰で、どのくらいの割合を相続するのか決める必要があります。
また、相続内容に沿って不動産の名義変更の手続きを進めなければなりません。
相続手続きの流れは以下のとおりです。
- 相続人を確定させる
- 遺産分割協議をおこなう
- 相続登記をおこなう
それぞれ流れに沿ってご説明します。
手続きの流れ①相続人を確定させる
遺言書が作成されていなかった場合は、誰が相続人に該当するのか確定させる必要があります。
そのため、亡くなった方が出生してから死亡するまでの戸籍謄本を取得し、確認しなければなりません。
戸籍謄本には、以前の本籍地などが記載されているため、死亡時から遡ってすべて取得するようにしましょう。
なお、戸籍謄本は、本籍地の住所地を管轄する市区町村で取得可能です。
相続人が自ら取得できない場合は、委任状があれば代理人でも取得することができます。
手続きの流れ②遺産分割協議をおこなう
相続人が確定したら、誰がどのように相続するのかを決める「遺産分割協議」をおこないます。
その際のポイントは、相続人全員で話し合うことです。
相続人の1人でも欠けていれば、その遺産分割協議は無効となるため注意しましょう。
なお、遺産分割協議にて話がまとまれば、「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印する必要があります。
遺産分割協議書については、このあとの相続手続きの際に必要となる場合があるため、紛失しないように大切に保管しましょう。
手続きの流れ③相続登記をおこなう
遺産分割協議書の作成が終われば、法務局にて相続登記の手続きをおこないましょう。
相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人に変更する手続きのことです。
相続登記は、一般的には司法書士へ依頼し、必要書類から申請書の作成・提出まで任せることができます。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されました。
相続を知ったときから3年以内に申請をしなければ、10万円以下の過料が科せられるため必ず手続きが必要です。
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不動産の共有名義人の片方が他界したときの相続時の注意点
不動産の共有名義人が他界した場合は、通常の不動産相続とは異なるいくつかの注意すべき点があります。
ここでは、住宅ローンを利用していた場合や、相続時のトラブルについての注意点を解説します。
注意点①住宅ローンや団信の加入を確認する
共有名義で不動産を所有していた場合は、住宅ローンを利用して購入しているか確認しましょう。
たとえば、親と子の共有名義となっている場合は、ペアローンや親子リレーローンを組んでいる可能性が高くなります。
確認する理由は、これらのローンも相続財産に含まれるためです。
不動産の登記情報を確認したり、住宅ローンに関する書類を探して調べたりしましょう。
また、住宅ローンを利用している場合は、団信(団体信用生命保険)に加入しているケースがあります。
団信に加入していた場合は、ローンの返済義務が免除される可能性もあるため、金融機関に確認を取りましょう。
注意点②相続トラブルになる可能性がある
共有名義の不動産を相続する際は、共有持ち分の相続権利が複雑になったり、管理費や税金などの支払い割合などでトラブルになりやすくなります。
とくに、相続人が多い場合は、共有持分が細かくなり権利関係が複雑化してしまうでしょう。
さらに、相続人が死亡し新たな相続が発生すれば、相続人がさらに増え収集が付かない状態も懸念されます。
このように、共有名義の不動産は相続時にトラブルになりやすく、かつ活用もしにくくなるデメリットがあります。
トラブルを回避するためには、生前のうちに共有状態を解消するなど相続対策を済ませておくのが望ましいといえるでしょう。
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まとめ
不動産の共有名義人の片方が亡くなった場合は、法律で定められた法定相続人が法定相続割合によって分割することになります。
決して、ほかの相続人よりも優先して共有者が持分を相続できるわけではないため注意しましょう。
また、共有持分の相続は、通常の相続と比べて権利関係が複雑になりトラブルになりやすいため、早めに相続対策をおこなうことをおすすめします。
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