相続税の取得費加算の特例とは?節税対策となる併用可能な特例も解説
- この記事のハイライト
- ●取得費加算の特例を利用するには相続税を納めていることや3年10か月以内に売却したことなどを満たす必要がある
- ●取得費加算の特例が適用できないケースは贈与により取得した場合や夫婦間の相続の場合である
- ●3,000万円の特別控除や小規模宅地等の特例が取得費加算の特例と併用できる
相続税を支払った相続財産を売却した場合、その際に課される税金(譲渡所得税)を抑えることができる「取得費加算の特例」を利用できることがあります。
条件を満たすことにより大幅に税金の負担を減らすことができるため、あらかじめどのようなケースに適用され、適用されないのかを確認しておくと良いでしょう。
そこで、相続税の取得費加算の特例とはなにか、この制度が適用できないケースや併用できる税制について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定の方は、ぜひ参考になさってください。
相続税が課税された方が利用できる「取得費加算の特例」とは?
相続した財産を売却した場合、税金を安くできる特例があるのをご存じでしょうか。
これは「取得費加算の特例」と呼ばれ、要件を満たせば所得税の負担を軽減することできます。
ここでは、取得費加算の特例の概要と要件、また計算方法を解説します。
取得費加算の特例の概要
取得費加算の特例は、相続した不動産を売却して譲渡所得(売却益)を計算する際に、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
譲渡所得とは、不動産売却で得た売却益のことで、以下の計算式で算出されます。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
この計算式の取得費の部分に支払った相続税の一定金額を加算することができます。
つまり、取得費加算の特例を利用すれば、取得費が増えるため、結果的に譲渡所得にかかる税金を軽減することができるのです。
なお譲渡所得にかかる税金は総称して「譲渡所得税」と呼ばれ、実際には所得税や住民税などの税金が課されます。
取得費加算の特例の要件
取得費加算の特例を利用するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- ●相続や遺贈により財産を取得した
- ●相続税が課税されている
- ●相続開始から3年10か月以内に売却した
取得費加算の特例が利用できるのは、被相続人の遺産を相続もしくは遺贈により取得し、かつ相続税を納めていることが条件となります。
また、相続開始から3年と10か月以内に売却した場合に利用できます。
取得費加算の特例の計算方法
取得費に加算できる相続税額は、以下の計算式で算出できます。
取得費に加算できる相続税額=相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除額)
この計算式で算出された金額を、譲渡所得を求める際の取得費に加算することができます。
なお、課税価格とは、課税対象となる固定資産の価格のことで、債務控除額は被相続人の債務を取得した財産から差し引いた金額のことです。
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相続税の取得費加算の特例が適用できないケース
取得費加算の特例は、適用できないケースもあるため注意しなければなりません。
ここでは、適用できないケースを3つ解説します。
適用できないケース①贈与により取得した場合
被相続人から贈与された財産については、特例は適用されません。
なぜなら、この特例は相続時にかかる負担を軽減するための制度だからです。
ただし、贈与でも以下の場合は適用されることがあります。
- ●3年以内加算制度により相続税の課税対象となった場合
- ●相続時精算課税制度を利用した贈与の場合
3年以内加算制度とは、贈与後3年以内に贈与した方が亡くなり相続が開始した場合に、そもそも贈与がなかったとされ、贈与分も相続財産として加算される制度です。
相続時精算課税制度は、最大で2,500万円までの生前贈与が非課税となり、相続時まで先送りされる制度のことです。
つまり、相続時に贈与分も併せて相続税の課税対象となります。
いずれの制度も国税庁のホームページにて詳細を確認することができるため、事前に調べておくと良いでしょう。
適用できないケース②夫婦間の相続の場合
夫婦間で相続した場合は、適用できない可能性が高いといえます。
前述したように、取得費加算の特例が利用できるのは、相続税を支払った方のみです。
夫婦間の相続の場合は、1億6,000万円まで非課税となる税額軽減といった特例や、配偶者の法廷相続分相当額まで非課税になる制度があります。
つまり、多くの場合がこれを超えることは少なく、そもそも相続税が発生しないのです。
相続税が課税されなかった方は、当然ながらこの特例を利用することはできません。
したがって、夫婦間で相続が発生した場合は、取得費加算の特例は関係ないケースがほとんどであることを覚えておくと良いでしょう。
適用できないケース③法人が遺贈によって財産を取得した場合
法人が遺贈(遺言によって財産を受け取ること)によって、財産を得た場合も特例は適用されません。
なぜなら法人の場合、売却した際に課せられる税金は法人税だからです。
取得費加算の特例は、あくまでも譲渡所得に関する特例のため、法人が取得費加算の特例を使うことはできません。
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相続税の取得費加算の特例と併用可能な税制度
取得費加算の特例には、併用可能な特例があります。
併用することで、さらに税金を抑えることができるため、要件を満たす場合は併せて利用しましょう。
併用可能な特例①マイホームを売却した際の3,000万円の特別控除
マイホームを売却した場合は、譲渡所得から最大で3,000万円を差し引ける特別控除を利用することができます。
この特別控除を併用すれば、大幅に譲渡所得を抑えることができるでしょう。
なお、譲渡所得が3,000万円未満であれば、取得費加算の特例を利用しなくても、この3,000万円の特別控除だけで譲渡所得をゼロにすることが可能です。
ただし、マイホーム特例を受けるために一時的に入居した場合や、別荘や趣味のために所有していた家屋については、適用されないため注意しましょう。
併用可能な特例②居住用財産の買換え特例
居住用財産を売却し、以前よりも高い家を購入して住み替える場合、譲渡所得にかかる税金の支払いが先送りされる制度を利用できます。
たとえば、相続した自宅を2,000万円で売却し、3,000万円で購入して住み替えたとします。
この特例を利用すると、2,000万円で売却した際に生じる譲渡所得税は、3,000万円で購入した家を売却する際にまとめて税金が課される特例です。
将来繰り延べされる譲渡所得税を計算する際に、取得費加算の特例を適用することにより取得費に相続税額を加算することが可能なため節税対策になるでしょう。
併用可能な特例③小規模宅地等の特例
相続開始直前まで被相続人などが居住用や事業用などで使用していた宅地などを売却した際に、一定面積まで相続税の課税額を減額できる特例です。
たとえば、被相続人が住んでいた家を配偶者が相続した場合は、330㎡までの面積分が80%減額されます。
ただし、相続開始から10か月以内に売却した場合はこの特例を利用できないため、売却するタイミングには注意が必要です。
なお、小規模宅地特例を使用した不動産を売却した場合の取得費加算の特例の計算は、小規模宅地等の特例を使用したあとの金額を基準に計算します。
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まとめ
取得費加算の特例は、相続税の一部を譲渡所得を計算する際の取得費に加算できるため、譲渡所得にかかる税金を節税することができます。
ただし、夫婦間の場合や贈与により取得した際は、利用できない可能性があるため注意しましょう。
また、3,000万円の特別控除などと併用すれば、さらに節税対策となります。
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