相続登記にかかる費用は経費にできる?費用の種類や注意点について解説
- この記事のハイライト
- ●相続登記とは相続が発生した際に不動産の名義を故人から相続人へ変更する手続きのこと
- ●相続登記で経費にできる費用の種類は登録免許税・各種書類の取得費用・司法書士費用の3つ
- ●相続税の申告・相続人が複数いる場合・一部のみ売却する場合には注意点がある
相続で取得した不動産は、相続登記をおこなわないと売却や活用ができません。
そこで今回は、相続登記とはなにか、確定申告で経費にできる費用の種類、経費計上するときの注意点について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
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「相続登記」とは?相続登記の必要性について
相続登記とは、亡くなった方(故人)が持っていた不動産を引き継ぐ際、その不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。
不動産の場所や持ち主の名前などの情報は、登記簿に記録されており、登記簿は法務局で取得できます。
不動産を持つ方が亡くなった場合、その不動産の所有権は相続人に移ります。
相続人がその不動産の新しい持ち主として登記簿に名前を記入するためには、法務局に「所有権移転登記」の申請が必要です。
もし、相続登記(所有権移転登記)をおこなわなければ、登記簿上の持ち主の名前は故人のままのため、売却の際に相続人が持ち主として証明するのが難しくなります。
相続登記の重要性
相続人が相続登記をおこなわないまま亡くなるなど、数次的に相続が発生すると、相続人が増えていくため手続きが大変になります。
このような状況が続いた結果「所有者不明の土地」となることも多いです。
所有者不明の土地は、売買や担保としての利用など、不動産を活用する際に大きな障害となります。
通常、不動産の取引や融資の担保にするには、名義人の同意が必要です。
所有者が不明であると、これらの活用ができなくなり、土地が放置される悪循環に陥ります。
さらに、管理されていない土地は周囲の環境や治安に悪影響を及ぼし、地域住民に不安を与えることになります。
これらの問題を防ぐためには、不動産を相続したら速やかに相続登記をおこなうことが大切です。
相続登記の義務化について
以前は相続登記が任意であったため、申請の期限や罰則が設けられていませんでした。
登記申請にはお金がかかるうえに手間もかかるため「法的に義務付けられていないから、登記しなくても問題ないだろう」と考える方が多かったのです。
これが原因で、所有者不明の土地が増え、社会的な問題となっていました。
この問題に対処するため、政府は2024年から相続登記を義務化することにしました。
不動産の相続人は、相続発生から3年以内に登記をおこなわなければなりません。
期限内に登記をしなかった場合、10万円以下の罰金が課される可能性があります。
この新しいルールは、法律が施行される前に相続した不動産にも適用されます。
そのため、すでに相続している不動産がある方はとくに注意が必要です。
まだ相続登記をしていない場合は、早めに手続きをおこなうことをおすすめします。
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経費にできる相続登記費用の種類について
相続登記にかかる費用は、譲渡所得税や不動産所得を計算する際に経費として考慮することができます。
譲渡所得税とは、不動産売却後に利益に対して課される税金です。
不動産所得は、土地や建物を貸した際に得た賃料などに対して課される税金のことです。
相続登記を経費にすると、支払う税金の額を抑えることができるため、確定申告をするときには忘れずに計上しましょう。
相続登記で経費にできる費用には次の3つがあります。
- 登録免許税:不動産の登記に必要な税金
- 書類の取得費用:必要な書類を取得するためにかかる費用
- 司法書士費用:相続登記を依頼する際に支払う専門家への報酬
これらの費用を経費として計上すると、税金の負担を少しでも軽減することができます。
相続登記で経費にできる費用の詳細は以下のとおりです。
登録免許税について
登録免許税は、相続登記をおこなう際に法務局に支払う税金です。
計算方法は、相続する不動産の価値に0.4%をかけた金額になります。
たとえば、不動産の評価額が4,000万円だった場合、登録免許税は16万円(4,000万円×0.4%)です。
書類取得費について
相続登記に必要な書類には、固定資産評価証明書や戸籍謄本などがあります。
自治体にもよりますが、一般的に固定資産評価証明書は1枚300円から400円、戸籍謄本は1通450円ほどで取得可能です。
さらに、除籍謄本や改製原戸籍謄本が必要な場合は、それぞれ750円がかかります。
被相続人の生涯にわたる戸籍、つまり出生から死亡までの戸籍謄本を取得する際は、一般的に4~6通程度必要になります。
また、被相続人の住民票の除票や相続人の住民票も必要です。
これらの書類取得にかかった費用も経費として計上できるため、忘れずに申告しましょう。
司法書士費用について
相続登記を専門家である司法書士に依頼する場合、その手続きにかかる費用として報酬を支払います。
司法書士の報酬は事務所によって異なりますが、一般的には6万円から7万円程度が相場です。
相続が数次的に発生しているなど、手続きが複雑であれば、追加で料金がかかる場合があるため、先に見積もりを取ることをおすすめします。
経費にならない費用
確定申告をする際、次のような費用は経費として認められないので注意が必要です。
- 葬儀費用
- 係争費用
- 代償分割の費用
葬儀費用や係争費用は基本的に「家事費」とみなされるため、経費に計上することはできません。
相続人間で不動産を遺産分割する際に、不動産の承継人が承継しないそのほかの相続人に支払う「代償金」についても、税務上は経費として扱われません。
税法の基本通達にも、代償分割に関わる金銭は経費に含めないとはっきりと記されています。
経費として認められるのは、不動産の取得やその利益に直接関連する費用のみです。
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相続登記の費用を必要経費にするときの注意点
前述のとおり、登録免許税、司法書士への報酬、そしてさまざまな書類の取得費用は、不動産所得や譲渡所得を申告する際に必要経費として認められます。
しかし、これらの経費を申告する際には以下の点に注意が必要です。
注意点①相続税での取り扱い
相続が発生した場合、相続税の申告が必要になることがあります。
相続税の申告の際は、葬式費用などを債務控除することが可能です。
しかし、相続登記にかかる費用は、債務とはみなされず、税額計算で債務控除の対象にはなりません。
申告書を作成する際は、この点を間違えないように注意しましょう。
注意点②相続人が複数いる場合
もし相続人が1人のみの場合、相続登記にかかる費用の負担について大きな問題は生じません。
しかし、相続人が複数いる場合、誰がこれらの費用を支払うのかが問題となることがあります。
たとえば、不動産を引き継ぐ方とそのほかの遺産を相続する方が異なる場合、不動産を引き継ぐ方が登記に関する費用をすべて負担すると決めることがあります。
一方、負担額が大きい場合は、不公平と感じる相続人とトラブルになることが多いです。
このような状況を避けるためには、遺産分割の際にこの問題をしっかりと話し合い、全員が納得できる解決策を見つけることが重要です。
注意点③一部のみ売却する場合
不動産所得や譲渡所得の申告で、所有する複数の不動産のなかから一部を売却した場合、その登記費用を正確に経費として計上するためには、費用を適切に按分して計算する必要があります。
このような計算は複雑になりがちで、専門的な知識を要することも多いです。
自分で計算するのが難しいと感じる場合は、無理をせずに税理士に相談しましょう。
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まとめ
相続登記とは、相続が発生した際に、不動産の名義を故人から相続人へ変更する手続きのことです。
相続登記にかかる費用のうち、登録免許税や各種書類の取得費用、司法書士費用の3種類は、譲渡所得税や不動産所得税の申告の際に経費計上することができます。
ただし、相続税の申告の際や相続人が複数いる場合、一部のみ売却する場合はご注意ください。
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