遺留分侵害額請求とは?相続発生前に知っておきたいポイントを解説!
- この記事のハイライト
- ●遺留分侵害額請求とは遺留分を侵害された相続人が侵害した方に清算金を請求することである
- ●遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求は適用時期や清算方法などに違いがある
- ●遺留分侵害額請求をする際は遺留分侵害額請求書を作成して内容証明郵便で相手に送る
相続財産は、平等に分けられるとは限りません。
被相続人の意思や生前贈与などによって、不平等な内容になってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、そのような際に行使できる「遺留分侵害額請求」とはなにか、遺留分減殺請求との違いや手続き方法などをふまえて解説します。
一宮市や名古屋市、西尾張などで不動産を相続する可能性のある方は、ぜひご参考にしてください。
相続の際の遺留分侵害額請求とは①概要と計算方法
生前贈与がおこなわれた場合や、相続が発生した際に遺言書がある場合は、その内容に注意しなくてはなりません。
なぜなら、法定相続人なのに財産をまったく相続できなかったり、想定よりも大きく減ったりすることがあるからです。
内容に納得できる場合は問題ありませんが、なかには納得できないこともあるでしょう。
そのような際に行使できるのが、遺留分侵害額請求です。
遺留分侵害額請求とは
遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が、侵害した方へ清算金を請求することです。
遺留分とは、法律によって保障されている最低限の遺産の取り分であり、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められています。
被相続人が遺言書や生前贈与などによって、特定の相続人や第三者へ多額の財産を渡すと、ほかの相続人の遺留分が侵害されることがあるでしょう。
そのような際は遺留分侵害額請求によって、多くの財産を受け取った方に、遺留分の支払いを求めることができるのです。
ただし、兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、相続人になっても遺留分侵害額請求はできません。
遺留分侵害額請求ができる方は、相続人となった配偶者と子ども、そして両親です。
本来の相続人である子どもまたは両親が亡くなっている場合の代襲相続人も、遺留分侵害額請求が可能です。
遺留分侵害額の計算方法とは
遺留分を侵害した方に請求できる遺留分侵害額は、以下の手順で計算します。
- ●遺留分の割合を確認する
- ●基準となる財産額を調べる
- ●財産額に遺留分の割合を乗じて、遺留分侵害額を算出する
遺留分侵害額請求では、法律によって定められている遺留分の割合を請求できます。
遺留分の割合は相続人になる方によって変わり、親などの直系尊属だけのケースは3分の1、それ以外のケースでは2分の1です。
たとえば、相続人が配偶者1人もしくは子ども1人の場合は2分の1、親1人の場合は3分の1です。
配偶者と子ども1人の場合は、それぞれ4分の1ずつが遺留分として認められます。
遺留分が確認できたら、「相続財産+一定の範囲の贈与財産-債務額」を計算して、基準となる財産額を算出しましょう。
一定の範囲の贈与財産には、相続開始前1年以内の贈与や、遺留分を侵害すると知りながらおこなった贈与などが該当します。
財産額を算出できたら、最後に遺留分の割合を乗じると、請求できる遺留分侵害額がわかります。
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相続の際の遺留分侵害額請求とは②遺留分減殺請求との違い
遺留分侵害額請求は、2019年7月1日から始まった比較的新しい制度です。
それまでは、遺留分減殺請求と呼ばれる制度が運用されていました。
2つの制度には、いくつかの違いがあるので、間違いのないように注意しなくてはなりません。
そこで、おもな3つの違いについて、それぞれ解説します。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い1:適用時期
2つの制度の大きな違いは、適用時期です。
2019年7月1日以降に発生した相続には遺留分侵害額請求、それ以前に発生した相続には遺留分減殺請求が適用されます。
請求する時期ではなく、相続が発生した時期によって適用される制度が決まるので、間違いのないように注意しましょう。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い2:清算方法
清算方法も、2つの制度の大きな違いです。
遺留分減殺請求は原則として現物を返還していましたが、遺留分侵害額請求の原則は現金による清算です。
現物を返還していたときは、不動産などの分けられない財産は共有状態となってしまい、さまざまなトラブルの発生が懸念されました。
その点、遺留分侵害額請求は金銭で清算できるので、そのようなトラブルの心配がなくなります。
ただし、相続財産に不動産が多い場合などは、清算するための現金が足りないかもしれません。
その際は、不動産の売却金を支払いにあてると、解決できる可能性があるでしょう。
不動産の売却方法には仲介と買取があり、メリットとデメリットが異なります。
仲介は買主を探して売却する方法で、相場に近い金額で売れる可能性はありますが、通常3か月から半年ほどの期間がかかります。
買取は不動産会社が物件を直接買い取る方法で、買取価格は相場より安くなりますが、スピーディーに売却を完了できることがメリットです。
価格を重視する場合は仲介、スピードを重視する場合は買取を選択しましょう。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い3:生前贈与の扱い
相続人へ生前贈与をした場合、遺留分減殺請求では、すべてを基準となる財産額に含めなくてはなりませんでした。
けれど、生前贈与をしてから長い年月が経っている場合などは、トラブルになる可能性が高いため、遺留分侵害額請求では相続開始前10年間に変更されました。
2つの制度のどちらに該当するかによって、基準となる財産額に含める生前贈与が大きく異なる可能性があるので注意しましょう。
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相続の際の遺留分侵害額請求とは③手続きの方法
今後発生する相続で遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求をおこなうことになるかもしれません。
そこで、この機会に手続きの方法を確認しておきましょう。
遺留分侵害額請求の手続き方法とは
遺留分侵害額請求をおこなう際の基本的な流れは、以下のとおりです。
- ●相手と話し合う
- ●遺留分侵害額請求書を作成して郵送する
- ●遺留分侵害額請求調停を申し立てる
- ●遺留分侵害額請求訴訟を起こす
始めに、遺留分を侵害している相手と話し合いをします。
話し合いによって合意した場合は、合意書を作成して、その内容で清算をおこなったら終了です。
合意できなかった場合は、遺留分侵害額請求書を作成して相手に郵送します。
郵送する際は日付や文書の内容、差出人や相手の名前などを証明できるように、内容証明郵便を利用しましょう。
遺留分侵害額請求書を送ったら、その内容について相手と話し合いをします。
合意できない場合や、応じてもらえない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てます。
調停では、第三者である調停委員が両者の仲立ちをするので、当事者だけで話し合うよりも合意できる可能性が高まるでしょう。
それでも合意できない場合は、地方裁判所で遺留分侵害額請求訴訟を起こします。
もし、遺留分侵害額請求を受けた場合は、すみやかに話し合いに応じ、調停や訴訟まで発展しないようにしましょう。
遺留分侵害額請求の時効とは
遺留分侵害額請求には、時効があります。
時効は、相続開始と遺留分の侵害を知ってから1年以内です。
ただし、時効までに遺留分侵害額請求をおこなえば、時効が過ぎても権利は守られます。
そのため、話し合いで解決できそうもない場合は、早めに先述した方法で遺留分侵害額請求書を送りましょう。
なお、遺留分侵害額請求には除斥期間もあります。
相続開始から10年が経過すると、遺留分の侵害があることを知らなくても、遺留分侵害額請求権が消滅してしまうので注意しましょう。
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まとめ
相続人に認められている遺留分が侵害された場合は、侵害した方に請求できます。
相続の発生が2019年7月1日以降の場合は遺留分侵害額請求、それ以前の場合は遺留分減殺請求をおこないます。
遺留分侵害額請求の清算方法は、原則として現金なので、相続財産に不動産が多くて清算が難しい場合などは売却を検討しましょう。
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