相続した不動産の分け方とは?現物分割・代償分割・換価分割の3つを解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

相続した不動産の分け方とは?現物分割・代償分割・換価分割の3つを解説

この記事のハイライト
●現物分割は、相続した不動産をそのままの形で引き継ぐ方法である
●代償分割は、不動産を一括で取得したい相続人がそのほかの相続人に代償金を支払う方法のこと
●換価分割は、相続した不動産を売却し、得られた金銭を相続人の割合に応じて分配する方法のこと

不動産は、物理的に分割するのが難しいため、共有者が増えるほどトラブルが発生しやすくなります。
そのため、早めにどのような対処方法や選択肢があるのか理解しておくことが必要です。
本記事では、相続した不動産の分け方である「現物分割」「代償分割」「換価分割」について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続予定の方は、ぜひご覧ください。

相続した不動産の分け方①現物分割とは?

相続した不動産の分け方①現物分割とは?

相続した不動産を分ける方法にはいくつか種類がありますが、そのなかでも「現物分割」は、相続財産をそのままの形で引き継ぐことを指します。
たとえば、1つの土地や家屋を相続人のうち誰かが単独で取得する、もしくは区分可能な建物や土地を個別に分割してそれぞれが取得する形が挙げられます。
実際に現物分割をおこなう際は、相続人全員でしっかりと話し合い、誰がどの不動産を取得するのかを明確にしておくことが重要です。

現物分割のメリット

現物分割のメリットは、愛着のある不動産をそのまま利用できる点です。
たとえば、先祖代々守ってきた土地や実家などは、思い入れのある財産などが挙げられます。
現物分割によりそのままの形で引き継ぐと、先祖から受け継がれた家や土地を、これまで通りに維持・活用できるメリットがあります。
また、売却せずに保有し続けることができるため、将来的に不動産価値が上昇した場合には、財産価値が高まる可能性があるでしょう。
売却の手間や費用がかからない点もメリットです。
換価分割(売却して現金化してから分配)を選択すると、不動産仲介会社への仲介手数料や売却までに要する時間がかかります。
一方、現物分割では売却の手間や費用がかからないため、相続手続きが比較的スムーズに進む場合があります。
相続開始後にすぐに不動産を活用したり、居住用として使ったりできる点は大きな魅力です。

現物分割のデメリット

不動産の価値や立地条件はさまざまです。
たとえば、中心地にあるマンションと郊外の一戸建てとでは資産価値が大きく異なる場合があります。
相続人が複数いる場合、1人だけが価値の高い不動産を取得すると、ほかの相続人との間で不公平感が生じるおそれがあります。
その結果、代償金のやり取りやトラブルに発展することもあるため注意が必要です。
土地を分割するときは、道路への接し方や分割後の形状によって資産価値に大きな差が生じる可能性があります。
現物分割を検討する際には、親族間のトラブルを未然に防ぐためにも、一度専門家に相談してから進めるのがおすすめです。

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相続した不動産の分け方②代償分割とは?

相続した不動産の分け方②代償分割とは?

相続財産のなかでも、不動産は現金と違って容易に分割できない性質があります。
そのため、複数の相続人が不動産をどのように引き継ぐかを話し合う際に、意見の対立や不公平感が生じやすいのが実情です。
そこで注目される分け方の1つが「代償分割」です。
代償分割は、特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人へ現金などで補償(代償金)を支払うことによって公平を図る方法を言います。
遺産分割協議では、不動産をどうしても引き継ぎたい方がいる場合や、複数の相続人同士で不動産を細かく分けることが難しい場合に検討されるケースが多いです。

代償分割のメリット

「どうしてもこの土地や家を守りたい」「すでに同居している家から引っ越したくない」など、特定の相続人が強い希望を持っている場合、代償分割なら継続して利用できます。
売却に出すことなく、これまでの暮らしや事業を続けられる点は大きな魅力です。
また、公平な分配がおこないやすい点もメリットです。
不動産を単独で取得する相続人が、その価値に見合った金銭を支払うと、他の相続人との公平感が担保されます。
たとえば、高額な不動産を取得する場合でも、金銭補填により相続分を調整できるため、結果的に遺産分割全体としてはバランスが取りやすくなります。

代償分割のデメリット

デメリットは、代償金の準備が必要な点です。
「代償金を支払って解決」するためには、相続人がまとまった金額を用意する必要があります。
金融機関からの借り入れが必要になる場合もあり、その審査や金利負担などの問題が生じる可能性があります。
十分な資金調達計画を立てておかなければ、せっかく代償分割を選択しても実行が難しくなるケースもあるでしょう。
また、不動産評価額をめぐる対立が起こりやすい点もデメリットです。
代償金の計算は不動産の評価額に依存しますが、評価方法には路線価や公示価格、実勢価格などさまざまな考え方があります。
相続人同士で評価額が合意に至らないと、代償金の額を巡るトラブルに発展するリスクがあります。
客観的な評価を得るためにも、不動産会社や不動産鑑定士に査定を依頼するなどの対応が必要です。

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相続した不動産の分け方③換価分割とは?

相続した不動産の分け方③換価分割とは?

換価分割とは、不動産を一度売却して現金化し、その売却代金を相続人の割合に応じて分配することによって公平に遺産を分ける方法を指します。
不動産をどのように分割するかで相続人同士の意見が対立したり、現物分割や代償分割のように別途資金が必要になったりするケースもあるため、換価分割は検討する価値のある方法です。
ただし、実際に売却を進めるうえでは、相続人全員の合意と十分な情報共有が欠かせません。

換価分割のメリット

不動産は誰かが多く取得すれば「不公平ではないか?」と問題視されることがあります。
しかし、換価分割なら不動産を売却して得た現金をベースに分配するため、相続人同士の公平感を得やすいです。
金銭で分かれている分、後々のトラブルが起こりにくい点もメリットです。
また、現物分割や代償分割で一部の相続人が単独で不動産を取得すると、固定資産税や修繕費の負担が増えることがあります。
共有名義で持つと、後々売却や管理の決定が難しくなるリスクも否めません。
換価分割を選択すれば、そもそも不動産を保有し続ける必要がないので、将来的な負担や名義トラブルを回避しやすいでしょう。
資金調達の必要がない点もメリットです。
代償分割では、不動産を取得する相続人が他の相続人に支払う資金(代償金)を用意する必要があります。
しかし、換価分割では不動産を現金に換えて分配をおこなうため、大きな借り入れや資金繰りに苦労せずに済みます。
相続開始後、速やかに現金化したい相続人にとっては大きなメリットです。

換価分割のデメリット

換価分割には、まず不動産を売却する手続きが必要です。
相続人全員の合意を得て仲介の不動産会社を選び、買主が見つかるまで待ち、契約・決済までおこなわなければなりません。
一連の手続きには時間がかかり、物件の条件や市場状況によっては想定より長引くこともあります。
また、不動産の売却価格は、所在地や市場の動向、物件の状態など様々な要因に左右されます。
もし不動産市況が冷え込んでいる時期に売りに出した場合、思ったような価格がつかない可能性があるでしょう。

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まとめ

現物分割は、相続した不動産をそのままの形で引き継ぐため、愛着ある財産を維持できるなどのメリットがあります。
代償分割は、不動産を単独で取得したい相続人がいる場合に、そのほかの相続人に代償金を支払う方法ですが、資金を準備しなければならない点がデメリットです。
換価分割は、相続した不動産を売却し、得られた金銭を相続人の割合に応じて分配するため、もっとも公平な分け方です。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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