遺留分とは?不動産評価額の決め方や決まらないときの対処法を解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

遺留分とは?不動産評価額の決め方や決まらないときの対処法を解説

この記事のハイライト
●遺留分とは配偶者や子、親などの法定相続人が得られる最低限の相続分のこと
●不動産の遺留分は、不動産評価額に基づいて算出し、評価方法は4つある
●不動産評価額が決まらないときは不動産鑑定士に依頼・弁護士に相談・裁判所に訴訟申立てをおこなう

不動産を相続することになった際、遺留分の概念を理解することは重要です。
本記事では、遺留分とはなにか、遺留分における不動産評価額の決め方や、不動産評価額が決まらないときの対処法について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。

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不動産の遺留分とは?

不動産の遺留分とは?

遺留分とは、被相続人(故人)の配偶者、子、および親などの法定相続人が得られる「遺産の最低限の取得分」を指します。
遺留分は、被相続人の意向を尊重しつつも、家族が経済的に困窮することなく生活できるよう保障するためのものです。
たとえば、遺言が存在し「すべての遺産を長男に相続させる」と定められていたとしても、他の法定相続人である配偶者や他の子どもたちには、遺留分を請求する権利があります。
遺留分侵害額請求により、遺言によって遺産が特定の相続人に偏ることがないよう、公平性が保たれます。
不動産の遺産が関係する場合、その価値を適正に評価することが重要です。
不動産の評価は専門家に依頼すると、市場価値や物件の状態を考慮した適正な価格を算出します。
専門家の評価結果が、不動産の遺留分を計算する基礎となります。

遺留分の対象者とは?

では具体的に、遺留分の対象者にはどのような方が含まれるのでしょうか。
遺留分の対象者は、被相続人の配偶者、直系卑属(子や孫など、故人の下の世代にあたる直系血族)、直系尊属(故人の両親や祖父母など、上の世代にあたる直系血族)です。
これらの方々は法定相続人として認められ、遺留分の権利を有します。
一方で、被相続人の兄弟姉妹など傍系血族は、遺留分の対象とはされません。

遺留分の取得割合とは?

遺留分の権利には優先順位が存在し、配偶者や子などの相続人ごとに法律で定められた取得割合に基づいて遺産が分割されます。
この優先順位と割合は、相続が発生した際に適正な遺産分配がおこなわれることを保証するためのものです。
遺留分の取得割合は、相続財産全体の2分の1です。
ただし、相続人が両親や祖父母などの直系尊属のみで構成される場合、取得割合は相続財産全体の3分の1になります。
具体例を挙げると、以下のようになります。

  • 配偶者のみが相続する場合:配偶者の遺留分は遺産の2分の1
  • 配偶者と子が相続する場合:配偶者と子それぞれの遺留分は遺産の4分の1ずつ
  • 配偶者と子2人が相続する場合:配偶者は遺産の4分の1、各子は遺産の8分の1ずつ
  • 子1人が相続する場合:その子の遺留分は遺産の2分の1
  • 子2人が相続する場合:それぞれの子は遺産の4分の1ずつ

また、配偶者と被相続人の母が相続する場合、配偶者は遺産の3分の1、母は遺産の6分の1の遺留分が得られます。

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遺留分における不動産評価額の決め方とは?

遺留分における不動産評価額の決め方とは?

不動産の遺留分の計算において、不動産の適正な評価額の算定は重要です。
不動産の評価額を誤って算定すると、遺留分の計算に影響を及ぼし、相続人間でのトラブルの原因となりかねません。
このため、不動産の評価額を正確に把握するためには、以下の3つのステップを経て、状況に応じた最適な方法を選択することが重要です。

ステップ①不動産の評価方法を調べる

不動産の評価方法は、以下の4つに分かれます。
地価公示価格
国土交通省が公表する地価公示価格は、全国の基準地の土地価格を評価するもので、毎年3月に更新されます。
国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で調べることが可能です。
相続税路線価
国税庁が設定する相続税路線価は、相続税や贈与税の計算基準となる価格です。
毎年7月に公表され、特定の道路に沿って設定されています。
固定資産税評価額
地方自治体が提供する固定資産税課税明細書に記載される評価額を使用する方法です。
不動産鑑定評価額
不動産鑑定士に依頼しておこなう評価方法です。
費用はかかりますが、もっとも精度が高い評価を期待できます。
とくに大きな遺産の場合や、法的な争いが予想される場合におすすめの評価方法です。
遺留分を計算する際には、これらの評価方法から状況に応じてもっとも適したものを選び、不動産の現在の価値を正確に反映させることが求められます。

ステップ②不動産評価額の選定と合意形成

遺留分の計算において不動産評価額を決定する際は、相続人同士で話し合い、全員の合意が必要です。
相続人間で不動産の評価額について議論する際は、事前に不動産の各評価方法(地価公示価格、相続税路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定評価額)の利点を理解しておく必要があります。
これにより、それぞれの相続人がどの評価額に基づく計算を望んでいるかを明確にし、意見の対立を最小限に抑えることが可能です。
なお、遺留分を計算する際には、相続が発生した時点の不動産評価額を使用します。
たとえば、相続が発生した時に不動産の評価が3,000万円だった場合、その後の市場価格の変動があったとしても、計算は3,000万円が基準です。

ステップ③遺留分の取得割合を計算する

相続人がどの程度の遺産を最低限受け取ることができるかを計算します。
このステップでは、適用される評価額に基づいて遺留分の具体的な金額を算出します。
計算式は、以下のとおりです。
遺留分 = 不動産評価額×遺留分割合
たとえば、不動産の評価額が3,000万円で、遺留分権利者が配偶者と子ども1人の場合で計算してみましょう。
遺留分割合がそれぞれ1/4の場合、配偶者および子どものそれぞれの遺留分は次のように計算されます。
遺留分=3,000万円×1/4=750万円
配偶者および子どもは、遺産を相続した相続人に対し、それぞれ750万円の遺留分を請求することが可能です。

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遺留分の不動産評価額が決まらないときの対処法とは?

遺留分の不動産評価額が決まらないときの対処法とは?

不動産の相続において、相続人間の意見が一致せず、不動産評価額が決まらないときは、以下の対処法を取りましょう。

①不動産鑑定士に評価を依頼

相続人が多く、意見が分かれる場合、客観的かつ専門的な評価が必要です。
不動産鑑定士らの評価は客観的で信頼性が高く、相続人全員がこの評価結果を受け入れやすくなります。
また、不動産鑑定士は不動産の専門家であり、複雑な評価方法や市場データを用いて正確な市場価値を算出します。
裁判所でも不動産鑑定士の評価額が用いられるため、法的な紛争においても有効です。

②弁護士に相談する

相続問題において感情的な対立が起こることは珍しくありません。
このような状況では、専門家である弁護士に相談することが有効です。
弁護士は法律の専門家であり、相続法を含む適用法令に精通しています。
法律的な観点から、相続人の権利や義務に関する正確な情報とアドバイスを提供します。
また、相続に関する話し合いが行き詰まった場合、弁護士は「家事調停」という法的手続きを提案し、その手続きを支援することが可能です。
家事調停は、裁判所の調停委員会を介して、法的な枠組みの中で話し合いがおこなわれるため、解決が困難な問題に対しても有効な手段となります。

③裁判所への訴訟申立て

相続問題において、当事者間の話し合いや家事調停が解決に至らない場合、法的な手段として裁判所への訴訟申立てが可能です。
遺留分侵害額請求の訴訟は、遺言や生前贈与によって法定相続人の遺留分が侵害された場合に、裁判を通じてその侵害された遺留分を金銭的に回復するよう求める手続きです。
裁判所での判決には法的効力があり、その決定は全ての当事者に対して強制的に適用されます。

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まとめ

遺留分とは、配偶者や子、親などの法定相続人が得られる最低限の相続分のことです。
不動産の遺留分は、不動産評価額に基づいて算出します。
遺留分の不動産評価額が決まらないときは、不動産鑑定士に依頼したり、弁護士に相談したり、裁判所に訴訟申立てをおこないましょう。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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