相続時の遺産分割協議でよくあるトラブルとは?解決策も解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

相続時の遺産分割協議でよくあるトラブルとは?解決策も解説

この記事のハイライト
●遺産分割協議とは相続人全員で遺産の分け方について話し合うこと
●遺産分割協議では遺産の範囲や不動産の分割方法・評価方法でトラブルが生じやすい
●遺産分割協議のトラブルを回避するためには相続前から話し合っておくことや遺言書を作成し遺言執行者を指定おくことがおすすめ

相続人が多く、かつ遺産のなかに不動産が含まれている場合は、相続人同士で遺産分割時にトラブルに発展しやすい傾向にあります。
トラブルになれば手続きがスムーズに進まず多くのデメリットが生じるため、相続が開始される前から解決策を練ることが重要です。
そこで、遺産分割協議とはなにか、進め方やトラブルが起きたときの解決策について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続する予定がある方は、ぜひご参考になさってください。

相続時に必要な遺産分割協議とは?

相続時に必要な遺産分割協議とは?

遺言書によって遺産の分け方が指定されていない場合は、相続時に遺産分割協議が必要となります。
ここでは、遺産分割協議とはなにかを解説します。

遺産分割協議とは

相続が発生すると、亡くなった方の遺産をどのように分割するのか決める必要があります。
遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産を分けます。
しかし、遺言書がない場合は、遺産分割協議を開き遺産の分け方を話し合わなければなりません。
遺産分割協議に参加するのは、民法で定められた法定相続人です。
また、遺産分割協議は相続人全員で話し合う必要があり、1人でも欠けるとその話し合いは無効となるため注意が必要です。
なお、遺言書がある場合でも、遺言書と異なる遺産分割をおこないたい場合は、相続人全員の合意のもと遺産分割協議をおこなうこともできます。

遺産分割協議の流れ

遺産分割協議は、以下のような流れで進めるのが一般的です。

  • ●相続人を確定させる
  • ●相続財産を調べる
  • ●遺産分割協議をおこなう
  • ●遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議をおこなうためには、まずは相続人を確定させなければなりません。
なぜなら、前述したように相続人全員の参加が必須だからです。
相続人の確認は、亡くなった方の戸籍を調べ特定します。
所在が不明な相続人がいる場合は、不在者財産管理人を選任してもらうか、失踪宣告の請求手続きが必要になります。
相続人が確定したら、続いて亡くなった方の相続財産を調べましょう。
その際は、現金や預貯金だけでなくローンや借金などのマイナスの財産も調べることが大切です。
遺産分割協議後に新たな遺産が発覚すると、改めて遺産分割協議をおこなわなければならないため注意しましょう。
相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割協議をおこないます。
遺産分割協議では、法定相続分をもとに分けるのが一般的ですが、それでは不公平と感じる相続人もいます。
そのため、寄与分や特別受益が認められるかどうかについても話し合う必要があるでしょう。
遺産分割協議で話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、後日の紛争を防ぐ役割もあるため、必ず作成しておくようにしましょう。
なお、遺産分割協議書には、相続人全員が署名し実印で押印します。

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相続時の遺産分割協議でよくあるトラブル

相続時の遺産分割協議でよくあるトラブル

相続時の遺産分割協議では、スムーズに話がまとまるケースもあれば、相続人同士でトラブルに発展してしまうケースもあります。
ここでは、遺産分割協議でよくあるトラブルについて解説します。

遺産の範囲でのトラブル

遺産分割では、亡くなった方の遺産であるか、それ以外の方の固有の財産であるかでトラブルになることがあります。
遺産の範囲が不明な場合は、確認を求める民事訴訟を提起し遺産が確定してから協議を始めるのが望ましいでしょう。
また、遺産の全体像が不明という場合は、明らかになっている遺産のみを分割することも可能です。
新たに発見された遺産は改めて分割するという留保をつけ、確定している遺産のみ分割を進めるようにしましょう。

不動産の分割方法でのトラブル

遺産のなかに不動産が含まれている場合は、そうでない場合に比べてトラブルになりやすいといった特徴があります。
とくにトラブルに発展するのが、不動産の分割方法です。
不動産を分割する方法には、以下の4つがあります。

  • ●現物分割:遺産をそのままの形で分割する方法
  • ●代償分割:相続人の1人が不動産を取得し、ほかの相続人に代償金を支払う方法
  • ●換価分割:相続した不動産を売却し現金化してから分割する方法
  • ●共有分割:相続人と複数人で共有して相続する方法

不動産を分割する際は、上記のいずれかを選択する必要がありますが、その際にどの方法を用いるかでトラブルになるケースが見られます。

不動産の評価方法でのトラブル

不動産を分割する際は、不動産の評価が必要になってきます。
しかし、評価方法も複数あり、どの方法を用いるかによってトラブルに発展してしまうケースが見られます。
なぜなら、どの評価方法を用いるかによって評価額が変わってしまうからです。
とくに、代償分割を選択した場合、不動産の評価額が大きく影響します。
相続人が長男・次男・三男の場合は、長男が代償分割によって不動産を取得したと仮定します。
この場合、長男は次男と三男に評価方法によって決められた代償金を支払わなければなりません。
たとえば、Aの評価方法を用いて評価額が3,000万円と判断された場合は、長男は次男と三男に1,000万円ずつ支払う必要があります。
一方で、Bの評価方法を用いると評価額が2,400万円と判断されるため、長男は次男と三男に800万円ずつ支払えば良いということになります。
このように評価方法によって支払う金額、受け取る金額が異なるため、トラブルになりやすくなるのです。

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相続時の遺産分割協議でトラブルが発生した際の解決策

相続時の遺産分割協議でトラブルが発生した際の解決策

遺産分割協議では、相続人の人数が多いほどトラブルになりやすいといった特徴があります。
では、トラブルが生じた場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、トラブルが発生した際の解決策と、生前にできる対策を解説します。

解決策①遺産分割協議がまとまらない場合は調停を利用する

遺言書がなく、かつ遺産分割協議にて話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用しましょう。
調停は、裁判所の調停委員をとおして話し合いをおこなう手続きのことです。
調停でも合意が得られない場合は、次の段階の審判に移行することになります。
審判では、裁判所が遺産の分け方を決めることになります。

解決策②生前に遺産について話し合っておく

相続が実際に発生してから話し合いをおこなうと、相続人同士の考え方の違いで揉めやすくなってしまいます。
そのため、相続前から意見を共有しておくと、スムーズに遺産分割がおこなえる可能性が高いでしょう。

解決策③遺言執行者を指定しておく

遺言書で遺産を分ける際は、遺言の内容を確実に実行するためにも、遺言執行者を指定しておくのもおすすめです。
なぜなら、遺言書がある場合でも、相続人が非協力的だと手続きが進まない可能性があるためです。
遺言執行者を指定しておけば、手続きが滞る心配がなくなり、確実に遺言どおりに遺産分割できるでしょう。

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まとめ

被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していない場合は、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。
しかし、遺産のなかに不動産が含まれていたり相続人が多かったりすると、分割方法や評価方法などを巡ってトラブルになるケースが見られます。
トラブルにならないためには、生前から相続人同士で意見を共有しておいたり、遺言書を作成し遺言執行者を指定しておくことが効果的でしょう。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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