相続税を納めすぎてしまう理由とは?還付の期限や還付された事例を解説

不動産コラム

渡邉 幸平

筆者 渡邉 幸平

相続税を納めすぎてしまう理由とは?還付の期限や還付された事例を解説

この記事のハイライト
●相続税を納めすぎてしまう理由に計算ミスや評価額の間違いなどがある
●相続税還付の期限は相続税の申告期限から5年以内
●還付された事例に広大地の評価額減額や不整形地の評価額減額が挙げられる

相続税の計算は複雑なため、申告する際は大変ですよね。
実際に、相続税を納めすぎて還付される方も多くいらっしゃいます。
この記事では、相続税を納めすぎてしまう理由や相続税還付の期限と流れ、相続税が還付された事例について解説します。
一宮市・名古屋市・西尾張で不動産を相続された方は、ぜひ参考になさってください。

相続税を納めすぎてしまう理由とは?相続税還付について

相続税を納めすぎてしまう理由とは?相続税還付について

相続税の還付とは、納めすぎた相続税が戻ってくることを指します。
相続税を多く払いすぎていた場合、更生の請求手続きをおこなえば国から超過分を返金してもらえます。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなり「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」です。
この短期間で書類を作成し、税額を計算しなければなりません。
自分で計算した結果を申告するため、実際より多く払ってしまっても税務署から連絡はありません。
とくに土地の相続では、評価を誤って多く払う事例が多くみられます。
そのため、支払った税額が高すぎる可能性を感じたら、もう一度見直すのがおすすめです。
過払い分があれば、税務署に申請手続きをおこなうと還付を受けられます。

なぜ納税済みの相続税を取り戻せるの?

払った相続税が戻ってくる代表的なケースは、土地を相続した際の評価額の違いによるものです。
土地の評価額は、専門的な知識が必要で難しい作業です。
不動産に詳しくない一般の税理士が評価すると、実際より高い金額で評価してしまうことがよくあります。
その場合は、相続税の専門家である税理士に、もう一度土地の評価額をチェックしてもらいましょう。
その結果、評価額が下がれば、税務署に「更正の請求」をおこなうことができます。
この請求が認められれば、実際の評価額に基づいた正しい相続税額が再計算されます。
すでに多く払いすぎていた場合、その超過分が還付(戻される)ことになるのです。

相続税を納めすぎる理由とは

相続税を払いすぎてしまう主な理由は、以下のとおりです。

  • ●計算ミスや評価額の間違い
  • ●税務署から過払い分の連絡がない
  • ●土地評価が複雑で難しい
  • ●相続税に詳しくない税理士に依頼した

相続財産を正しく評価できていなかったり、計算を間違えたりすると、本来より多く相続税を払ってしまう恐れがあります。
相続税は自分で計算して申告するため、多く払いすぎていても税務署から連絡はありません。
気づかないまま期限が過ぎれば過払い分は戻ってきません。
また、多くの還付事例が土地の評価ミスによるものです。
土地の評価は一見単純そうに見えますが、実際にはさまざまな要因を考慮する必要があり複雑です。
一般的な税理士は、法人税や所得税の経験は多くても、相続税に詳しくない方がいます。
そのため、適切な土地評価などができず、多額の相続税を払ってしまうリスクがあります。
まずは一度、相続税の専門家に確認しておくことが大切です。

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相続税還付の期限と流れとは?

相続税還付の期限と流れとは?

相続税の還付請求には、期限が設けられています。
その期限は「相続開始日から5年10か月以内」です。
具体的には、被相続人が亡くなって相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告をおこないます。
そして、相続税の申告期限から5年以内に還付請求をおこなう必要があります。
この期限を過ぎてしまうと、払いすぎた分の還付を受けられなくなるため、注意が必要です。
たとえば、2021年1月1日に被相続人が亡くなった場合。
2021年11月1日が相続税の申告期限、2026年11月1日が還付請求の申告期限になります。
このように、還付請求には期限があるため、それを過ぎる前に専門家に相談し、手続きをおこなう必要があります。
とくに、土地などの評価が適切だったかどうかは、見直しポイントです。
評価額を下げると還付を受けられる可能性があるため、注意が必要です。

相続税の還付額の目安

相続税の還付額は、ケースによって差があります。
一般的には、払った相続税の20%程度が還付される例が多いようです。
しかし、これはあくまで平均的な例であり、還付率が20%を上回るケースも少なくありません。
適切な手続きをおこなえば、多額の還付を受けられるチャンスがあります。

更正の請求手続きの流れ

相続税の還付(更正の請求)をおこなう場合、次のような流れになります。

  • ●税理士と契約を結び、還付手続きを依頼
  • ●税理士から税務署へ必要書類を提出
  • ●税務署から更正通知書が送付されてくる(送付先は依頼者か税理士事務所のいずれか)
  • ●依頼者に国税還付金の振込通知書が届く
  • ●税務署から依頼者の口座へ還付金が振り込まれる

なお、還付された後は、依頼者から税理士へ手数料を支払う必要があります。

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相続税が還付された事例とは?

相続税が還付された事例とは?

具体的に、相続税が還付された事例も気になりますよね。
よくある事例は、以下のとおりです。

広大地を相続した事例

相続税を節税するために、土地評価額を最大65%下げることができた「広大地評価」は、2017年の税制改革で廃止されましたが「地積規模の大きな宅地」として新しい制度が設けられました。
それでも、2017年12月31日までに相続が始まった土地に関しては、2023年10月31日までに手続きをおこなえば、広大地評価の適用が可能でした。
「広大地」とは、一般の宅地より広い土地を指し、基準は以下の3つです。

  • ●三大都市圏内で500㎡以上、その他地域では1,000㎡以上の土地
  • ●大規模工場やマンション建設に適さない土地であること
  • ●分譲住宅地として開発する際、道路や公園など公共施設の建設が必要な土地であること

実際に広大地を相続したある事例では、次のようなケースがありました。
隣接する300㎡と450㎡の2つの土地を相続し、当初は別々に評価したうえで個別に相続税を申告したケースです。
しかし、実際は750㎡の1つの広大地と判断されるべきだったため、更生手続きをおこない広大地評価を適用すると、土地評価額が大幅に下がりました。
なお、従来の「広大地の評価」制度と比べて「地積規模の大きな宅地の評価」には以下のような変更点があります。

  • ●土地がマンション建設に適しているかどうかの判断が不要となり、要件を満たせば適用対象となる
  • ●道路や公共施設用地としての負担が考慮される必要がなくなった
  • ●すでに開発が完了しているビルやマンションの敷地も、要件を満たしていれば適用が可能

これらの変更により、以前は「広大地の評価」の対象とならなかった土地でも「地積規模の大きな宅地の評価」が適用されるようになりました。
ただし、この新しい評価方法では、広大地評価の時よりも減額の割合が小さくなる可能性があります。

不整形地を相続した事例

整った四角形ではなく、台形や三角形など形が不規則な土地のことを「不整形地」と呼びます。
斜面地や崖地なども不整形地に含まれます。
不整形地は、土地の一部を有効活用できないことから、通常の整形地に比べて評価額が最大40%も下がるため、相続税額を大幅に抑えられる可能性があるのです。
不整形地の評価は以下の手順でおこなわれます。

  • ●国税庁の地積区分表から、その土地がどの地区区分に該当するか確認
  • ●もし整形地だったらどのくらいの評価額になるか試算(想定整形地価格)
  • ●実際の不整形部分の面積がどの程度か算出(かげ地の割合)
  • ●かげ地の割合に応じて、最大40%まで想定整形地価格から減額

具体例としては「旗竿地」と呼ばれる細長い不整形地が挙げられます。
敷地入り口が狭く、奥に大きな面積がある土地のことです。
この旗竿状の部分が有効活用できないため、大幅な減額評価が適用される可能性があります。

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まとめ

相続税を納めすぎてしまう理由には、計算ミスや評価額の間違いなどが挙げられます。
相続税還付の期限は、相続税の申告期限から5年以内です。
還付された事例としては、広大地の評価額減額や不整形地の評価額減額が挙げられます。
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このブログの担当者 
渡邉 幸平

◇一宮市・名古屋市内全域を中心に、
不動産仲介及び買取り事業を行っております。
◇一宮市出身の私は、元銀行系不動産売買仲介会社等に従事した経験があり、実績豊富です。
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